3. 化学物質の危険性と安全な取り扱い

3.1 特定化学物質

特定化学物質とは
癌、皮膚炎、神経障害その他の健康障害を発生させる恐れのある化学物質で、特定化学物質等障害予防規則により規定されている。

(1) 特定化学物質による障害

  1. 皮膚や粘膜の接触部位に直接障害を起こす。
    塩素、フッ化水素、硫酸ジメチルなどが該当し、皮膚が痛む。目に入ると結膜炎、角膜炎などを起こしひどい時には失明する。
    またそれらのガス、蒸気、粉塵等を吸い込むと咳やくしゃみが起こり、時には肺炎や肺水腫を起こす。
  2. 皮膚、呼吸器および消化器から体内に吸収されて一定量蓄積され、吸収部位外にも障害を起こす。
    アルキル水銀、マンガンなどの特定化学物質の大部分はこれに属する。

(2) 特定化学物質の種類

  1. 第1類物質
    • ジクロルベンジジンおよびその塩
    • a-ナフチルアミンおよびその塩
    • PCB
    • ジアニシジンおよびその塩
    • o-トリジンおよびその塩
    • ベリリウムおよびその塩
    • ベンゾトリクロリド
    以上の化合物をその重量1%を超えて含有し、ベンゾトリクロリドはその重量の0.5%を超えて含有する製剤その他の物である。
    信州大学農学部では使用禁止である。
  2. 第2類物質
    第2類物質はこれらのガス、蒸気または粉塵の発散源を密閉する装置または局所排気装置(ドラフトなど)を設け、作業環境中の濃度を一定基準以下に抑制し、慢性的障害を予防すべき物質である。
    • アクリルアミド
    • クロム酸およびその塩
    • フッ化水素
    • ベンゼン
    などが該当する。
  3. 第3類物質
    第3類物質は特定化学設備から大量漏洩事故により発生する急性的障害を予防するため、一定の設備基準および管理を必要とする物質である。
    • アンモニア
    • 塩化水素
    • 硫酸
    • フェノール
    などが該当する。
    信州大学農学部では特化物実験室または各研究室で取り扱うが、未開封の試薬類は特化物保管室に保管する。

(3) 特定化学物質による健康障害の防止の原則

  1. 有害化学物質の使用の中止、有害性の少ない物質への転換
  2. 有害化学物質を使用する際は特化物実験室で取り扱う
  3. 作業環境測定による管理状態のチェックを定期的に行う
  4. 定期の特殊健康診断による異常の早期発見と治療
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