神経難病学

テーマ8:神経難病の臨床病理学的検索と在宅療養支援

神経疾患の病態解明を目的とし、当科では神経難病学講座と協力し、県内の関連病院も含め神経疾患を中心とした剖検例のデータベース化を(信州ブレインリソースネット)を行っています。これまでに800例以上の剖検例が登録され、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患の臨床病理学的188bet体育_188bet备用网址を行っています。
また、当科医師が“長野県難病医療コーディネーター”を務めており、県内の医療機関等による難病医療ネットワークの整備と難病患者の安定した療養生活の確保を図る役割を担っています。訪問診療、コミュニケーション機器の改良?開発、多施設?多業種で患者情報を共有できる電子連携システムの構築を進めています。

代表的な業績

  1. Hineno A, Nakamura A, Shimojima Y, Yoshida K, Oyanagi K, Ikeda S. Distinctive clinicopathological features of 2 large families with amyotrophic lateral sclerosis having L106V mutation in SOD1 gene. J Neurol Sci. 319:63-74, 2012
  2. 日根野 晃代, 小栁 清光, 中村 昭則, 下島 吉雄, 吉田 邦広, 池田 修一. SOD1遺伝子L106V変異家族性筋萎縮性側索硬化症における下部尿路機能障害の発現時期と排尿神経機構の病理所見. 臨床神経. 56:69-76, 2016
  3. Oyanagi K, Yamada M, Hineno A, Yahikozawa H, Ushiyama M, Miki J, Kanno H, Nakayama J, Makishita H, Inoue K, Ohara S, Hayashida K, Kayanuma K, Yamamoto K, Yasude T, Hashimoto T, Yoshida K, Ikeda SI. Shinshu Brain Resource Net. Neuropathology. 36:600-1, 2016
  4. 滝沢正臣,中村昭則,日根野晃代,渡辺美緒. 在宅難病患者総合情報共有のための電子チームケアシステムの利用評価. 日本遠隔医療学会雑誌. 12: 153-156, 2016
  5. Hineno A, Shikata Y, Morozumi Y, Nakamura A, Ikeda S. Communication support project for patients with an intractable neurological disease. XXIII World Congress of Neurology, 2017

テーマ9:特発性小脳失調症(idiopathic cerebellar ataxia, IDCA)の疫学188bet体育_188bet备用网址

脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration, SCD)は孤発性と遺伝性に大別されますが、前者には皮質性小脳萎縮症(cortical cerebellar atrophy, CCA)と行政上は多系統萎縮症(multiple system atrophy, MSA)に分類されるオリーブ橋小脳萎縮症(olivopontocerebellar atrophy, OPCA)が含まれています。OPCA、CCAはともに神経病理学的所見に基づいた疾患名です。OPCAはMSAの一型(MSA-C)として国際的な臨床診断基準が整備され、かつMRIでも特徴的な所見が認められることから臨床診断はほぼ明確になされています。一方、CCAは疾患特異的な症候、バイオマーカーがなく、除外診断に頼らざるを得ません。しかしながら、未だ診断基準を満たさない発症早期のMSA症例や遺伝性失調症や続発性失調症などの除外診断が十分になされていない症例も混在しているため、結果として現状のCCAはかなり多様な疾患群の集合体と考えられています。
そこで「運動失調症の医療基盤に関する調査188bet体育_188bet备用网址班」では、CCAの実態を明らかにするために神経病理学的な診断名であるCCAに代わる臨床的な疾患概念?名称として、特発性小脳失調症(idiopathic cerebellar ataxia, IDCA)を提唱し、診断基準案を作成しました。(図)
当教室および神経難病学講座では、現在、IDCAの臨床像を明らかにすることを目的に、診断基準案(図)にてprobable IDCAの該当例の臨床情報を収集し、学全国横断的な調査188bet体育_188bet备用网址を行っております。該当する患者さんを診察されている先生で、本調査188bet体育_188bet备用网址にご協力頂ける場合は、下記まで御連絡頂けると幸甚に存じます。どうぞよろしくお願い致します。

連絡先

吉田 邦広
信州大学医学部神経難病学講座(キッセイ薬品工業株式会社 寄附講座)神経遺伝学部門
〒390-8621 松本市旭3-1-1
TEL: 0263-37-3059(脳神経内科,リウマチ?膠原病内科 37-2673)
FAX: 0263-37-3186(脳神経内科,リウマチ?膠原病内科 37-3427)
e-mail: kyoshida@shinshu-u.ac.jp

代表的な業績

  1. Yoshida K, Kuwabara S, Nakamura K, Abe R, Matsushima A, Beppu M, Yamanaka Y, Takahashi Y, Sasaki H, Mizusawa H; Research Group on Ataxic Disorders. Idiopathic cerebellar ataxia (IDCA): Diagnostic criteria and clinical analyses of 63 Japanese patients. J Neurol Sci. 2018 Jan 15;384:30-35

テーマ10:脳卒中、神経難病患者に対するロボティックウエアの実用化188bet体育_188bet备用网址

信州大学医学部神経難病学講座は、同繊維学部、民間企業、JA長野厚生連鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院などと共同で、ロボティックウエアのリハビリテーション?ロボットとしての実用化を目指した臨床188bet体育_188bet备用网址の準備を進めています。
今回の188bet体育_188bet备用网址では、脳卒中患者さん、および脊髄小脳変性症患者さんを対象とし、ロボティックウェアによる歩行訓練を行い、リハビリテーションの効果や実用面での問題点などを検証します。

連絡先

吉田 邦広
信州大学医学部神経難病学講座(キッセイ薬品工業株式会社 寄附講座)神経遺伝学部門
〒390-8621 松本市旭3-1-1
TEL: 0263-37-3059(脳神経内科,リウマチ?膠原病内科 37-2673)
FAX: 0263-37-3186(脳神経内科,リウマチ?膠原病内科 37-3427)
e-mail: kyoshida@shinshu-u.ac.jp

代表的な業績

  1. Matsushima A, Yoshida K, Genno H, Ikeda SI. Principal component analysis for ataxic gait using a triaxial accelerometer. J Neuroeng Rehabil. 2017, 2;14(1):37.
  2. Matsushima A, Yoshida K, Genno H, Murata A, Matsuzawa S, Nakamura K, Nakamura A, Ikeda S. Clinical assessment of standing and gait in ataxic patients using a triaxial accelerometer. Cerebellum Ataxias. 2015, 6;2:9.
  3. Mizukami N, Takeuchi S, Tetsuya M, Tsukahara A, Hashimoto M, Yoshida K, Matsushima A, Maruyama Y, Tako K. Effect of the synchronization-based control of a wearable robot having a non-exoskeletal structure on the hemiplegic gait of stroke patients. IEEE Trans Neural Syst Rehabil Eng 2018, 26;1011-1016.