信州大学HOME

診療内容
  1. ホーム
  2. 診療内容
  3. 代謝疾患

代謝疾患

代表的な病気に以下のようなものがあります。

糖尿病

糖尿病は血糖値が高くなる病気で、そのほとんどはインスリンというホルモンが出なくなったり、出ていてもその効果が発揮されにくくなっていたりすることが原因です。インスリンは膵臓と呼ばれる臓器から分泌されており、私達が食事をした時には普段の何倍もの量のインスリンを出します。インスリンは言ってみれば糖の運搬屋で、血液中に増えた糖を私達の身体の細胞1つ1つに渡す役割をしており、その糖をエネルギー源にして私達は体を動かす事ができています。

糖尿病は主に1型糖尿病と2型糖尿病に分けられます。
1型糖尿病はインスリンを作る膵臓のベータ細胞を自分の免疫で破壊してしまうことが原因です。インスリンがほとんど出なくなってしまうので治療にはインスリンが不可欠となります。
2型糖尿病はその人の遺伝的素因と環境因子によるところが大きいと言われています。遺伝的素因は変えることはできませんが、環境因子は生活習慣などの生活環境が影響していますので自分で注意することができます。
2型糖尿病では徐々にインスリンが出なくなることが多いので、できるだけ早い段階で病気に気付き、治療を始めることが大切です。血糖値が高い場合、口渇や多飲?多尿、夜間頻尿などの症状で気付かれる事がありますが、症状が出ないこともあるので定期的な健康診断は病気の発見には有効です。2型糖尿病の治療は、その人の生活習慣やインスリン分泌量が個々で違う為、治療も様々です。早期にみつかった場合であれば、食事療法や運動療法で改善することもあります。インスリン分泌量が少なくなっている場合には薬物療法やインスリン療法を行います。

糖尿病の恐ろしいところは血糖値が高いことで様々な合併症を引き起こすことです。代表的なものは眼、腎臓、神経に影響が及び、それぞれ網膜症、腎症、神経障害(三大合併症)を引き起こします。これらは小さな血管が障害されることによりますが、大動脈といった大きな血管も影響を受け、血管が硬くなり、その中も狭くなります(これを動脈硬化と言います)。
心臓や脳、下肢の血管が巻き込まれると、それぞれ虚血性心疾患(狭心症?心筋梗塞)、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症を引き起こします。いずれも早期に発見し治療を開始することが大切です。

当科では患者さんとの対話を大切にして、患者さんの置かれている環境にできるだけ配慮した診療を心がけています。外来ではフットケア外来を立ち上げており、糖尿病患者さんの健康状態にも深く入り込んだ診療を行っています。そこではフットケアのみならず、患者さんの心理面、環境面にも配慮し、より決め細やかな治療ができるよう心がけています。入院では糖尿病教室を毎月開催しており、少しでも糖尿病を知ってもらおうと日々工夫をしています。

脂質異常症

食生活の欧米化、運動不足によりその数は年々増加しています。血液中のコレステロールや中性脂肪が増える病気で、長期間そのままの状態にしておくと脳梗塞や狭心症、心筋梗塞等を起こす可能性が高くなります。自覚症状がなく病気が進んでいくのでサイレントキラーとも呼ばれています。
糖尿病と並んで生活習慣病の代表的な病気の1つで、普段の食生活を含めたライフスタイル全体を見直す必要があります。

肥満症

肥満とは体脂肪が異常に多い状態で、体格指数(BMIと言い、体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]で計算できます)が25以上を指します。肥満により生ずる健康障害(糖尿病、脂質異常、高血圧、高尿酸血症、狭心症?心筋梗塞、脳梗塞、睡眠時無呼吸症候群、脂肪感、変形性関節症?腰椎症、生理不順など)が合併した場合を肥満症と言います。

近年、その有病率は増加の一途をたどっています。慢性的な過食や運動不足に遺伝素因が加わって起こることが主な原因とされており、これにより起こるものを単純性肥満と言います。一方、ホルモン異常などの他の病気が引き金となって起こるものを症候性肥満と言います。どちらの肥満も治療が必要です。前者の場合は、食事療法、運動療法が主体で、必要に応じて薬物治療を行います。後者の場合は、原因となる病気に対する治療を行います。

メタボリックシンドローム

内臓脂肪の蓄積によりリンゴ型肥満(ウエスト周囲径の増加)となり、空腹時高血糖(耐糖能異常)、高中性脂肪血症や低HDLコレステロール血症のような脂質異常、高血圧をきたします。これらは動脈硬化を促進して狭心症や心筋梗塞などの心血管イベントのリスクを高めます。食事面や運動面などにおける生活習慣の是正、必要に応じて薬物療法を行う必要があります。
当科では、本症候群についても積極的に介入して加療を進めています。

骨粗鬆症

この病気は骨の量が減り、その骨の構造も弱くなり、骨折を起こしやすい状態を示します。年齢とともに骨の量は減っていきますが、その減り方が大きいものを言います。カルシウムの摂取不足や副甲状腺ホルモン、女性ホルモンなどが関与します。当科ではその原因を検査し、患者さんの病態にあった治療を心がけています。