生命誕生の瞬間(=受精)を科学する

教員氏名 | 保地 眞一 |
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職名 | 教授 |
所属 | 応用生物科学科 |
188bet体育_188bet备用网址分野 | 生殖生物学、低温生物学、発生工学 |
出身校 | 岡山大学 |
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一言コメント
マウス、ラット、ウサギといった実験動物からウシなどの大型産業家畜を対象に、精子や卵子を体外に取り出して人為的に受精卵を作ったり、それらを半永久保存するための技術を開発しています。
188bet体育_188bet备用网址紹介
顕微操作を駆使して受精の神秘に迫り、遺伝資源を保存?再生?活用する!
哺乳類における受精生理の解明と遺伝資源の保存?再生に取り組んでいる保地188bet体育_188bet备用网址室。これまでにマウス、ラット、ウサギ、ネコ、ウマ、バッファロー、ウシ、クジラ、ヒトに至る動物種の配偶子 (精子?卵子) を扱い、約100編の学術論文を公表しています。得意技は、未受精卵子や受精卵 (胚) の新しい凍結保存法である「ガラス化技術」と高倍率の顕微鏡下で配偶子を操る「顕微操作」。マイクロマニピュレーターを駆使すれば受精シーンを再現した胚の作出だけでなく、クローン動物や遺伝子改変動物の創出も可能になるそうです。
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直径100ミクロンの卵子も数ミクロンの精子も顕微鏡下で操作 (左)。受精直後から精子中心体を基点にして微小管繊維網が発達 (右)。 | ラット精子頭部は釣り針状の形をしているため注入操作は困難だったが、今ではフリーズドライ精子に適用できるまで改良された。 |
?188bet体育_188bet备用网址から広がる未来?
顕微授精技術や体細胞核移植技術の確立は、細胞の「生」の定義を「ゲノムDNAが保存されていること」だけに集約しました。永久凍土に凍結状態あるいはフリーズドライ状態で埋まっている絶滅種、マンモスの生殖細胞?体細胞もこの意味では「生きている」可能性があり、最先端の生殖工学技術の力を借りることで「マンモス復活」の狼煙が揚がるかもしれません。また、再生医療の切り札である多能性幹細胞 (ES細胞?iPS細胞) をラットで樹立しました。これらを機能的な生殖細胞に分化させることができるならば、究極の不妊治療法となることでしょう。
膵ランゲルハンス島を移植して糖尿病を治す
日本人の約1割が罹患している糖尿病には、自己免疫疾患により血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌できなくなる1型糖尿病と、食生活の乱れや運動不足といった生活習慣に起因してインスリンが効きにくくなる2型糖尿病があり、いずれも網膜症、腎不全、末梢神経障害などの合併症を引き起こすリスクがあります。前者の1型糖尿病に対して、インスリン投与による対処療法に代わるものとして最近、単離した膵ランゲルハンス島 (以下、膵島:この中にあるβ細胞がインスリンを分泌) を移植する根治療法が注目されています。保地 眞一 教授 (応用生物科学科) は、ラットの膵島を?196℃で長期保存してもグルコースに反応してインスリンを分泌する能力を保持しており、糖尿病ラットの腎被膜下に移植すれば血糖値が正常回復することを確認しました。このとき、多くの哺乳類において未受精卵子の保存に有効なことが実証され、保地188bet体育_188bet备用网址室にも十分なノウハウの蓄積がある "超急速ガラス化保存法" が外径250 ?m以下のラット膵島に適用でき、ナイロンメッシュや生体適合性が高いシルクフィブロイン製スポンジがガラス化デバイスとして利用できることもわかりました。現在、ES細胞やiPS細胞といった多能性幹細胞から膵島への分化誘導、巨大?極小膵島から適正サイズ膵島の再構成、移植膵島に血管新生を促進する足場材料の構築、といった実験にも挑戦しています。
生殖工学?発生工学?低温生物学という学問領域の土俵上で「配偶子 (精子、卵子) や受精卵の保存に関する188bet体育_188bet备用网址」をメインに据え、論文発表を中心に188bet体育_188bet备用网址活動を行ってきた保地188bet体育_188bet备用网址室ですが、今からおよそ7年前、ある学生のリクエストに応える形で「膵島の保存ならびに移植に関連した188bet体育_188bet备用网址」をゼロからスタートさせました。今ではそれぞれが188bet体育_188bet备用网址室を牽引する188bet体育_188bet备用网址テーマの両輪を成すようになり、188bet体育_188bet备用网址室所属の学生メンバーが切磋琢磨する毎日を過ごしています。
(掲載期間 令和 2年 11?12月)