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生物資源?環境科学課程 堀江智明 准教授の共著論文がNature誌に掲載
2013.05.16
生物資源?環境科学課程の堀江智明 准教授が共著者として名を連ねる論文「Using membrane transporters to improve crops for sustainable food production (植物膜輸送と将来の食糧問題に関する展望)」がNature誌に掲載されました。
世界人口は70億を超え、顕在化する地球温暖化に起因した気候変動や土壌劣化によって、農業生産による食糧の安定供給力が圧迫されています。将来の食糧供給が懸念される中、植物科学から得られた基礎知見が、実際の農業生産に生かされる事例が出てきました。植物(農作物)は、乾燥、塩類集積、冠水、酸性土壌、栄養素不足等、様々な環境ストレスに対応しながら生きて実をつけます。そのストレス応答機構に、植物細胞膜や細胞内の区画を形成する膜(液胞膜等)に埋め込まれたイオン?物質輸送タンパク質が、決定的な役割を演じる事例が多い事がわかってきました。図は、コムギやイネで塩ストレスに抵抗するために不可欠であるHKTと呼ばれるNa+輸送タンパク質の分子機能を模式的に示したものです。堀江教員がイネを材料に精力的に188bet体育_188bet备用网址している遺伝子です。実際に、耐塩性種由来の該当遺伝子を利用して、耐塩性コムギが育種され、塩害に苦しむオーストラリアの農地において、収量25%アップを実現したという報告があります。今回発表された論文では、劣悪環境で植物の生育を可能とさせる植物膜輸送体遺伝子の機能が述べられ、かつ現在、および将来の農業と植物膜輸送の役割?有用性が端的にまとめられています。
塩害地に生育するコムギが発動する耐塩性機構の模式図: HKTは導管からNa+を排除し、光合成に重要な葉身をNa+から保護する。PM: 細胞膜;Xylem: 導管;XPC: 導管隣接柔細胞;HKT: Na+輸送体タンパク質