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07信大発のCAR-T細胞療法が難治性がんと闘う子どもたちを救う!「CAR-T細胞療法」は、がん患者の免疫細胞を使いその機能を人工的に高め、がんへの攻撃力を強化した、新しいがん治療法です。まず、もともと体内に備わっている免疫細胞の一種「T細胞」(※2)をがん患者から採取。そこへがん細胞の目印(抗原)を発見する機能を高めた特殊なたんぱく質「CAR(キメラ抗原受容体)」遺伝子を導入し、T細胞の遺伝子を改変して体外で増幅?培養します。これを患者の体内へ戻すことで、がん細胞を攻撃します(図解)。副作用もありますが、効果は高く、抗がん剤などが利かなくなってしまった患者や、治療法が限られている小児がん、難治性がんなどの希少がんに対する切り札として開発が行われてきました。しかし、CAR遺伝子をT細胞に導入するのは容易ではなく、ベクターと呼ばれる遺伝子の「運び屋」が必要です。海外の188bet体育_188bet备用网址では、遺伝子操作を施した「ウイルスベクター」が用いられてきました。これに対して中沢教授が開発した「非ウイルス遺伝子改変CAR-T細胞療法」では、ウイルスベクターではなく「酵素」を使用します。酵素を用いる最大の利点は、製造コスト。ウイルスベクターを使えば、効率よく遺伝子導入ができる反面、臨床応用のためには高規格な設備と膨大な安全性試験が「非ウイルス遺伝子改変CAR-T細胞療法」の実装に向けて(※1)遺伝子を細胞内に導入するためのベクター(運び屋)となるウイルス。遺伝子操作により複製および増殖能を欠損させたウイルスや、複製?増殖能の一部を保持したウイルスを使う。手術?抗がん剤?放射線治療といった、これまでのがん治療とは異なる選択肢として「がん免疫療法」188bet体育_188bet备用网址が世界各国で進んでおり、そのひとつ「CAR-T(カーティー)細胞療法」と呼ばれる治療法がいま注目を集めています。その中でも信州大学医学部小児医学教室の中沢洋三教授が開発した「非ウイルス遺伝子改変CAR-T細胞療法」は、ウイルスベクター(※1)を使わず、安全?安価に提供できる世界初の治療法として、国内外から期待が寄せられています。中沢教授は、この手法を用いて骨髄性白血病に対するオリジナルのCAR-T細胞(GMR CAR-T)を開発。現在、臨床応用に向けた取組みが進んでいます。                     (文?柳澤 愛由)ウイルスベクターの代わりに酵素を使う、世界初のCAR-T細胞(GMR CAR-T)中沢教授らの188bet体育_188bet备用网址グループは、現在5社ほどの企業と共同188bet体育_188bet备用网址を進めています。そのうち(株)東芝との共同188bet体育_188bet备用网址において、5月、「がん指向性リポソーム技術」を開発したと発表しました。CAR-T細胞療法ではカバーしきれない疾患に対するがん遺伝子治療に用いることを想定しています。がん遺伝子治療は、標的とする細胞に治療遺伝子を運搬し、その機能を発現させることで、細胞の機能を修復?増強する治療法です。通常、治療遺伝子の運搬にはウイルスが使用されてきましたが、安全性や標的性に課題がありました。がん指向性リポソームは、東芝独自のナノサイズのカプセルである生分解性リポソームに、治療遺伝子を内包し、標的となる細胞に正確?高効率に運ぶ技術です。有効な治療法がないT細胞腫瘍(T細胞型急性リンパ性白血病)の再発?治療不応例に対する新たな治療法開発につながる技術として期待されます。がん指向性リポソームによるがん遺伝子治療法を東芝と共同開発モニターはがん細胞の画像( 188bet体育_188bet备用网址室にて)

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