臨床医学の勉強では,病める人を救うという情熱,それに必要な知識,技能,態度,コミュニケーション能力などを身につけます。また,今は治せない,診断できない病気の解決にむかって知的に挑戦する心を養うことも大事です。このために,少人数での問題解決討論型実習等を含むユニット講義(それぞれの領域の疾患について内科や外科,基礎医学といった教室枠を超えて統合的に集中講義を行う形式),診療参加型臨床実習が行われます。 臨床医学を学んでいく過程では,それまでに学んだ基礎医学の知識,つまり身体の構造,身体の機能,それを維持するメカニズム,それらに障害が起こった場合どのような異常が起こるのか,病気の診断と薬物治療などを存分に活用することが必要です。つまり,基礎医学と臨床医学はとても密接に結びついていますので,その双方についてしっかり身につけるよう,カリキュラムが組まれています。 臨床医学の講義の最初の部分では,患者さんの症状をどのように整理して病気の診断に結びつけるかを学びます。これは,症状から病気を思い浮かべるという作業です。そのためには,どのような病気がどのような症状を作り出すのか,ということを正確に理解しておくことが必要です。これは,病気別に症状を整理する,ということです。そこで,それぞれの臓器(たとえば心臓,消化器など)やシステム(免疫系など)にどのような病気があるのか,それぞれの病気はどのような症状を作り出すのか,も学んでいきます。 一方で,病気の診断に必要な身体診察の方法や臨床検査の知識,病気の治療方法(非薬物療法,薬物療法,手術,放射線療法など)も身につけていきます。患者さんとのコミュニケーションの取り方の勉強もします。15臨床医学教育
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