■ョ■■■Berry Moon■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■※四国や九州は温暖な地域に一季成りイチゴの生産が盛んで四季成りイチゴ信大BS8-9は生okinawahiroshimayamaguchi600tottori3002011年に品種登録、かつて本誌でもご紹介した信州大学登録の新品種、夏秋イチゴ「信大BS8-9」が今、日本を代表する四季成りイチゴのブランド品種となって、従来は生産期ではなかった冬?春以外のイチゴの生産シーンを席巻しています。甘酸バランス、色、形、香り、そしてコクの豊かさ。すべてにおいて四季成りイチゴの概念を変えたこの品種は、信州大学の大井美知男特任教授(開発当時は農学部教授)が6年もの歳月をかけ、約6000通りもの組み合わせを検証し品種改良したもの。2022年には北海道から沖縄まで80カ所で栽培され、有名店のパフェやケーキ、ジャムやジェラートなど…通年でイチゴを満喫できるようになっている品種、「信大BS8-9」の今を報告します。(文?中村 光宏)対して四季成りは、名前の通り周年を通じて収穫が可能な品種。その特性から一季成りの栽培が難しい夏秋に収穫できるよう栽培されてきました。国内では、以前から数種類の四季成り品種が栽培されてきましたが、その味はいずれも一季成りの足元にも及ばないもの。市場の80?90%を占めるアメリカ産にしても国産より発色がいいという程度で、もったいない話ではありますがデコレーションアイテムとしてのみ考えられていたそうです。そんな従前の四季成り品種のイメージを根底から覆したのが、大井美知男先生が手掛け、信州大学が品種登録した夏秋イチゴ「信大BS8-9」です。大学発の新品種の特徴は、夏秋イチゴのイメージを根底から覆す味。元々の社業であるイチゴの高設栽培システムの開発?販売に加えて、現在はこの品種の共同権利者でありビジネス展開を担う(株)アグリスの栽培指導部長、椎葉正一さんは、2011年4月に初めてこのイチゴに出合った時の驚きが今も忘れら椎葉正一さんは、(株)アグリスで栽培指導部長を務めています。れないと言います。「多くのイチゴを見てきた私には、夏秋イチゴに良いイメージはありませんでした。市場で気にされるのは姿かたちと色味、そして棚持ちだけ。そもそも食味は求められていなかったんです。だからこそ「信大BS8-9」は衝撃でした。私は、甘味、酸味とのバランス、コクを重視するのですが、どれをとっても冬春イチゴに勝るとも劣らない、常識はずれの夏秋イチゴだったんですから」「信大BS8-9」に魅了された椎葉さんは、誰に頼まれた訳でもなく自分が知る生産者に「とんでもない夏秋イチゴがある」と伝えて回ったそうです。かくして、当時まだ信州で数軒の生産者のみだったこの夏秋イチゴは、わずか1年で全国に20カ所程度まで急拡大することになりました。アグリスはまた、前年12月に埼玉県越谷市に「いちごみらい舎」を設立。“いちごのまち”を目指す越谷市と、耐病性が高い「信大BS8-9」を軸に据えたイチゴ栽培の促進活動を行っています。冷房設備を備えた最新ハウスの中では、「あずさいちご」と名付けて栽培するだけでなく、瞬間冷凍設備もそんな市場の拡大を目の当たりにした信州大学が事業化をアグリスに委ねたのは2015年のことです。以降、購入した苗についてはオリジナルの商品名をつけたり、自由に自家増殖できるライセンスフリーとしたことも手伝い「信大BS8-9」は順調にシェアを拡大。初年度は19団体で62,000株だった定植は右肩上がりに伸長を続け、2021年には72団体212,000株になっています。導入して冷凍製品も商品化。解凍してそのままでも美味しく食べられる冷凍イチゴは、ジェラートなどの原料としても引く手あまただそうです。さらにいちごみらい舎では、このイチゴの魅力のひとつである硬さと日持ちを活かして輸出も検討中。「信大BS8-9」が日本を飛び出し、日本が誇る夏秋イチゴとして世界を席巻する日は、もう目の前です。03農学部発、四季成り 信大BS8-9の生産都道府県と生 定植苗数及びご当 (2021年調査)夏秋イチゴの概念を根底から覆す…特許をビジネス展開するパートナー企業に聞くイチゴの品種は、冬春に収穫する一季成りと呼ばれるものと、主に夏秋に収穫する四季成りに大別されます。冬に店頭に並ぶ「とちおとめ」や「あまおう」といった品種はすべて一季成り。総じて甘味が強く生食に適し、最近では一粒80g以上もある巨大な新品種が次々に登場したこともまだ記憶に新しいのではないでしょうか?夏でも美味しいイチゴを…四季を旬に変えた、イチゴ新品種の 18,4205,334全国に広がる信大発夏
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