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のパフェ。右はタカノフフェ(期間限定)。長野?駒ヶ根?東京?新宿バスタ間を走っていた「恋姫」一色のラッピングバス。宝塚大学東京メディア芸術学部の卒業制作としてデザインされたこのラッピングは、多くのバスが交錯するバスタ内で圧倒的な存在感を放っていました。バス会社なのでまず登場したのが新宿?伊那間を走る高速ラッピングバス。商標登録した伊那の4つの生産者だけが使えるオリジナルネーム「恋姫」のお洒落なロゴと中まで赤い「信大BS8-9」の巨大な姿が強烈な真っ赤なバス(2022年暮れ、バス本体の老朽化に伴い惜しまれながら退役)は、伊那市の友好締結都市である新宿区の宝塚大学東京メディア芸術学部の学生たちがデザインしたもの。学生たちは、まず伊那を知ろうと何度も伊那に足を運び、「2年半以上をかけて延べ数百ものデザインを起こしてくれた」(青木さん)のだそう。その甲斐あって、恋姫の認知に一役も二役も買ったことは誰の目にも明らかです。恋姫はまた、多くの一流店で使われているのも特徴。苗香屋の恋姫は東京?新宿「タカノフルーツパーラー」のパフェ(信州伊那フェアの期間限定)や大阪?北浜「五感」のケーキとして、先輩格の信州畑工房の恋姫は東京?銀座「資生堂パーラー」のパフェとして楽しむことができます。当時、イチゴといえば冬春の作物。夏秋の国産品種もあるにはありましたが、味も色味も優れる輸入品の独壇場でした。それを国産品に置き換えられれば、国の農業という点からも意味があると考えました。輸入品が優れるといっても、それは例えばケーキのイチゴに誰も手を付けないレベル。冬春に負けない夏秋イチゴを作れば必ず売れると思った訳です。まず一季成り、四季成りを問わず在来品種の収集からはじめ、集まった約60品種の苗を掛け合わせたり、余計な遺伝子を取り払ったりを繰り返し誕生したのが「信大BS8-9」です。実は、信大に着任する前は関西の種苗会社の188bet体育_188bet备用网址員だったんですが、担当は大根の品種改良で、イチゴはやったことがなかったんです(笑)。でも、大根のように種ではなくイチゴは栄養繁殖ですから大根より品種改良ははるかに容易なはずで、大根での経験もかなり役立ちました。生産者のために、硬度があって日持ちすること、耐病性も意識しました。だから「信大BS8-9」にはうどん粉病はまず出ませんし、炭疽病などの土壌病にも強いと思います。また、生産者を主体として自由に栽培させたいと考え、信大にはネーミングを自由にできること、アグリスには自家増殖を認めてもらうことを要望しています。自分だけの名前の方がやりがいが出るし、自分が栽培しやすい苗の方が愛着も湧くでしょう? 何より国立大学らしいと思いませんか(笑)?2021年からはフロムデータ(株)のクラウド型圃場モニタリングシステム「あぐりの助」を実装し、生産者間の情報共有もはじめました。より精密な栽培設備の制御やGAP認証に沿った管理が行え、ノウハウの向上やリスク軽減が図れる筈です。そのビッグデータはAIによる収量?収穫予測を可能にし、営農コストや新規参入障壁の低減にもつながると思っています。アグリスの依頼で収量性向上の改良にも着手したところ。「信大BS8-9」のさらなる進化を楽しみにしていてください。PROFILE1976年 京都大学大学院農学188bet体育_188bet备用网址科修了1992年 信州大学農学部助教授2009年 信州大学院農学188bet体育_188bet备用网址科教授2016年 信州大学工学部特任教授188bet体育_188bet备用网址分野は蔬菜園芸学。農学博士。信州大学工学部大井 美知男 特任教授06 イチゴ(品種登録出願番号:第24243号) する ングは圧巻!冬春イチゴを超える夏秋イチゴを目指して目指したのは“冬春を超えるイチゴ”です。具体的には糖度が高く、甘酸バランスがいいこと。色は美しい赤で、切った断面も赤いこと。きれいな円錐形をしていること。ケーキ屋さんが使いやすい一粒12?23,4gくらいのサイズ感も重視しました。味にも姿にもこだわった四季成り品種…開発者、大井美知男特任教授に聞くきっかけは長野の農家の夏の収入を支えたいという思い私が信州大学に赴任したのは昭和の終わり。当時はレタスなど夏季の葉物野菜は東京など大消費地との交通網が発達していた長野県の独壇場でした。しかし高速道路が開通して東北に大きな圃場が続々とでき、価格が一気に下落してしまったんです。その状況に「葉物に代わって長野の夏を支える作物が必要だ」と感じ、色々と検討を重ねた末に決意したのが美味しい夏秋イチゴの開発でした。

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