※ほんの一部をご紹介します。ドイツの探検家、東洋学者のシュラーギントワイト5人の兄弟のうち、3兄弟がプロシア王の後援を得て、1854年から58年にかけて行った、インド?ヒマラヤ地方の調査記録。報告書4冊と60枚に及ぶ図版は、大型の本の型をした献呈箱に納められています。図版のうち、29枚はパノラマ図で、エヴェレストやカンチェンジュンガなどが原色で見事に描かれています。ヨーロッパにおける大航海時代、1633年にアムステルダムで印刷されたフランス版メルカトル地図帳の一部。朝鮮半島が大陸とつながっておらず、島として描かれています。北海道がなく、信濃は「Rinano」と書かれています。「未知の世界への探検」という大航海時代の気質は、その後の近代登山発展の基底となりました。小谷隆一氏と北杜夫氏。小谷氏が隊長を務めるカラコルム?ディラン峰(パキスタン?ヒマラヤ)遠征にて(北氏は医師として参加)『北越雪譜』(ほくえつせっぷ)の著者として有名な鈴木牧之(すずき ぼくし)(1770?1842)が、文政11年(1828)9月に信越国境の秘境?秋山郷を探訪した際に、山村の自然や風土、人々の生活様式から独特の風俗や習慣までを詳細に記録し、絵と文章でまとめたもの。本書は、大正時代初期、京都大学教授清野謙次が弟子に写させたもので、稀少な伝本です。Integrated Report 2023 Shinshu University36Shinshu UniversityIntegrated Report 2023CULTURE小谷氏は、小林義正(1906-1975)氏の山岳図書コレクション「高嶺(たかね)文庫」(約3,000冊)を譲り受け、それを母体に、国内外の古書店巡りや新刊図書の購入などにより補完?拡充することで、約8,000点におよぶ日本有数の山岳図書コレクションとしました。小谷コレクションには、国内外の初版本、限定版、愛蔵版、サイン本などの貴重な図書が多数含まれており、近世(主に江戸時代)の和古書?古地図は、「近世日本山岳関係データベース」(次ページ参照)として附属図書館ウェブサイトで公開しています。 Atlas of India and High Asia (Results of a scienti?c mission to India and high Asia) インドおよび高地アジア地図書(インドおよび高地アジアへの科学調査隊派遣の成果)シュラーギントワイト3兄弟 刊行年:1861?1866年メルカトル地図刊行年:1633年秋山紀行鈴木牧之 制作年代:大正時代(写本)信州大学所蔵日本屈指の山岳図書コレクション「小谷コレクション」「小谷コレクション」は2003年、本学の前身校の一つである旧制松本高等学校の卒業生である小谷隆一(1924-2006)氏から、信州大学へ寄贈された山岳関連図書のコレクションです。信州大学附属図書館学術情報拠点として学生の自立的学習や最先端の188bet体育_188bet备用网址活動を支援するほか、知の蓄積と発信、機関連携によって、地域の学術文化振興に貢献しています。博物館?美術館?図書館?文書館などの県内文化施設と連携し、地域資源の共有化と新たな知識化をとおして地域創生につなげることをめざす取り組み「信州 知の連携フォーラム」にも、2016年発足時から参加しています。総数約8,000点未来に繋ぐ地域の宝、歴史と伝統を受け継ぐ文化資産信州大学は歴史と伝統を語る数多くの貴重な文化資産を所蔵しています。それらは地域の宝でもあり、公開しながら大切に保存し未来に受け継いでいきます。
元のページ ../index.html#38