写真 本188bet体育_188bet备用网址で採取した(a)ダケカンバと(b)オオシラビソの細根図 標高2000、2500m地点におけるダケカンバおよびオオシラビソの細根の水の通しやすさ。この結果から、標高増加に対してダケカンバは細根の水吸収を高めるが、オオシラビソは変化させない事が明らかとなった。針葉樹のオオシラビソを選んだ。樹木から10×10cm程度の大きさの細根を採取した。細根の水吸収を評価するために、細根に人工的に圧力を加え、細根の水の通しやすさを測定した。また、細根のストレス耐性を評価するために、細根からの水の失なわれにくさを測定した。 結果として、細根の水の通しやすさは、ダケカンバでは標高2500m地点で明確に高くなったが、オオシラビソでは大きな変化がみられなかった(図)。一方、細根の水の失いにくさは、ダケカンバでは大きな変化がみられなかったが、オオシラビソでは標高2500m地点において明確に高くなった。これらの結果から、標高の増加に対して、広葉樹であるダケカンバは細根の水吸収を高め、短期間により多くの水を得られるようにしているが、針葉樹であるオオシラビソは細根のストレス耐性を高め、ストレス下でも水吸収を維持できるようにしている事が明らかとなった。したがって、同じ生育環境の変化を経験しても、広葉樹は細根の水吸収を、針葉樹は細根のストレス耐性を調節することで、変化する環境下で成長に必要な水を確保することが示唆される。本188bet体育_188bet备用网址の結果により、今後、広葉樹と針葉樹に着目することで、気候変動に対する樹木の応答や細根を介した水循環の変化の正確な理解に繋がることが示された。環境への 森林は大量の二酸化炭素を固定し、温暖化防止など地球環境保全に貢献しているが、その機能を十分に発揮するためには多量の「水」が必要である。樹木は細根と呼ばれる直径2mm以下の根を通じて土壌から水を吸収している(写真)。しかしながら、世界規模で危惧されている気候変動によって、樹木を取り巻く水環境が変化し、森林が持つ多面的な機能の存続が危ぶまれている。樹木は変化する環境に合わせて細根の水吸収を調節すると予想され、細根の水吸収やストレス耐性が環境変化にどのように応答するのか評価することで、将来的な気候変動に対する森林の炭素固定機能の変化や水循環の変化の正確な予測につながる。これは、SDGsが掲げる目標の「気候変動に具体的な対策を」や「陸の豊かさを守ろう」の達成に貢献する。本188bet体育_188bet备用网址では山岳標高差を利用し、生育環境の変化に対して細根の水吸収やストレス耐性がどのように変化するのか検証した。 調査は長野?岐阜県境に位置する乗鞍岳の長野県側斜面における標高2000m、2500mの2地点で行った。標高2500m地点は、標高2000m地点よりも、調査期間中の平均気温および地温が2℃ほど低く、樹木が成長できる期間が2カ月程度短いため、樹木にとってより生きづらい環境である。対象樹種として、落葉広葉樹のダケカンバと常緑172-1 環境教育修士論文総合医理工学188bet体育_188bet备用网址科総合理工学専攻 増本 泰河 山岳域における広葉樹と針葉樹の 細根の水獲得様式と根特性の標高応答性02取り組み修士論文?卒業論文
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