2023信大環境報告書
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図2 : 確認されたイベント CH1(青):MPPC 基板, CH3(赤): 確定用検出器  ミューオグラフィ向け新型ミューオン検出器の実試験へ向け、シンチレータアセンブリとMPPC基板の取付け及び動作確認、並びにそれを用いたデータ収集?解析に関する取組み、加えて、データ解析過程において問題となった点を解決するため、微弱な信号を探索するための幅を持ったイベント探索手法を試し、旧来の手法との比較?評価を行った。図1 : 検出器構造 本検出器にミューオンが入射すると、ミューオンが通過した経路上のシンチレータは蛍光を発し、波長変換光ファイバーによってMPPCまで光子が伝えられ、基板上の各MPPCにおいては信号を検知できると期待される。また、それぞれのシンチレータを通過した経路の長さの分、相互作用による蛍光が発生するため、通過した経路が長ければ長いほど、光子が多く得られ、MPPCで検出される光子量が多くなる。本検出器は、前検出器同様、これらの情報を利用して、方位角方向のミューオン通過経路を得る設計となっている。 宇宙線ミューオン由来のイベントを確認するため、確定用検出器の信号に対してトリガを設定?調節したところ、無事、2つの検出器を通過したミューオンによるものと思われる、図2に示すように同時に発生しているイベントが確認された。また、確定用検出器をMPPC基板から遠い位置に設置するセットアップにおいてもイベントが確認された。環境への取り組み 地上に到来する宇宙線の一種であるミューオンの方向別到来頻度を測定することによって、物質の密度分布を得るミューオグラフィ技術は、高い透過性を持つミューオンを利用することから、山体や地下洞窟などの大きな構造を調査することができる。しかしながら、天頂方向から到来するミューオンを利用するその仕組み上、ミューオン検出器を対象物よりも低い位置に設置する必要があるため、調査地点が限られてきた。この問題を解決し、より多くの調査地点?用途に適応するため、既存のボアホールを活用した調査が可能な、小型の新型ミューオン検出器を開発中である。 本論文においては、この新型ミューオン検出器の実試験に向け、製作された波長変換光ファイバー入りシンチレータと半導体光検出器MPPC基板の取付け及び動作確認、並びにそれを用いたデータ収集?解析に関する取組みを中心に記し、加えて、データ解析の過程において問題となった点を解決するため、微弱な信号を探索するための幅を持ったイベント探索手法を試し、旧来の手法との比較?評価を行った。  検出器構造は図1に示す。24組のシンチレーターアセンブリは、六角形に配置され、緩衝材となるゴム板を挟んで、ネジ穴が開けられたアルミ台座にネジで固定される。波長変換光ファイバーの先端は、MPPCに触れない長さに切断、先端が研磨され、MPPC直上に位置するように配置される。また、基板上に飛び出ている個々のMPPCを覆い保護、及びクロストークを防止するため、基板との間には保護カバーが挟み込まれる。MPPC基板は、アルミ台座にネジで固定される。18卒業論文工学部 電子情報システム工学科 當波 孝明 ミューオグラフィ向け新型検出器実試験に向けた動作確認 及び宇宙線イベント 探索手法評価2-1 環境教育修士論文?卒業論文02

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