人類は20世紀後半以降、人口の爆発的増加や人間活動の拡大により地球に多大な負荷を与えてきました。その結果、地球温暖化や環境破壊などの問題が浮き彫りになり、私たちは今、大きな課題に直面しています。健康を維持し、安全で文化的な生活を送るためには、豊かな自然環境の保全が非常に重要です。私たちが食料や水、気候調節などの恩恵を受けるためには、生物多様性を前提にした健全なエコシステムの維持が不可欠となります。一方では、地球環境の保全を視野に入れながら、クオリティ?オブ?ライフを維持?向上させる必要もあります。これには、持続可能な都市計画や再生可能エネルギーの利用、廃棄物管理などが含まれます。さらに、生産性を確保しながらカーボン?オフセットの仕組みを構築しなければならないという課題もあります。これは、温室効果ガスの排出を削減し、残った排出を吸収または補償する方法を見つけることを意味します。例えば、森林の保護や植林活動、持続可能な農業の推進などが考えられます。これらの課題はいずれも哲学的であり、数学的や物理学的に超越しなければならない要素も多く、解決の糸口を見出すことは容易ではないでしょう。産学官が連携して、科学、技術、政策、経済、教育などの分野での取り組みを前にすすめることが求められます。あわせて、個人や地域コミュニティでの意識改革や行動変容も不可欠となります。さらには、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた国際的な協力関係を構築していくことも必要となります。 これらの観点において、大学の果たすべき役割はきわめて大きなものがあると認識しております。私たち大学人は、人類がこれまで培ってきた叡智、科学を総動員して、地球の環境保全、ひいては人類の持続可能な発展のために前向きに取り組む必要があります。大学には、さらなる技術革新の推進、教育による社会変革、国際的な合意形成の推進等の旗振り役となることが期待されているのです。そのような中で、信州大学は、大学の環境方針として、『かけがえのない地球環境を守るため、教育、188bet体育_188bet备用网址、診療を含む社会貢献、国際交流など、あらゆる活動を通して、人と自然が調和した、持続可能な社会の実現に貢献する』ことを掲げてきました。本学では、全国の大学に先駆けて環境ISO14001を導入するなど『環境に負荷を与えることのない大学』構築に向けた活動を積み重ねてきました。その甲斐あって、本学は、環境に優しい大学の世界ランキング「UI Green Metric World University Rankings」でこれまで5年連続国内1位の評価を受けることができました。今後もこの方針を堅持し、教職員と学生とが共に手を携え、環境を意識した活動を行っていきたいと考えています。 最後に、皆さまの日ごろのご尽力に感謝申し上げますとともに、今後の活動に引き続きご協力下さいますようお願い申し上げ、巻頭言といたします。2023年9月信州大学長中村 宗一郎1学長メッセージ
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