(9)必要となる教育課程の特例 5 本学校園の事例と成果 (1)幼稚園~【遊び】「思いや願い,問い」を膨らませるA児の「探究的な学び」を支える保育者の援助~ 構成していけるよう,以下2つに力を入れて取り組んでいる。 1つは「探究的な学びのデザイン」。もう1つは「総合的な学習の時間」である。 ①中学校における探究的な学びのデザインの重点 「教材との出会い」の場面で,生徒の心がどう動くのか,模造紙に書きだしたり,何人かの教師で実際にやってみたりしながら見通している。また,自分の問いを連続させ,その質を変容させながら教材の本質に迫っていくための教師の支援として,「省察」場面をどう位置付けるかということを大切にしている。省察の中で,それぞれが追究してきたものが多面的に統合されたり,批正されたりしながら,学びは立体的に構成されていく。そして,単元末には,探究的に学んできたことが,「今の自分やこれからの自分にとってどういうことであるのか」と自分に矢印を向け,生徒が自分の生き方や前提を問い直し,編み直していく姿や場面をまなざしている。 ②総合的な学習の時間 生徒は実生活や実社会にある「もの?ひと?こと」と具体的に関わり,その中で生まれる生徒の「思いや願い,問い」から,学級ごとにテーマや活動を立ち上げている。中学校では3年間クラス替えがなく,学級担任は同じ学級を3年間受けもつ。総合的な学習の時間の学習単位は学級とし,「学級総合」を行っている。また,その活動に打ち込み,「思いや願い,問い」の質を変容させながら,何度も探究を繰り返し,自分の学びを構成していくという学び方を,上述のように,各教科でも「探究的な学び」として具現しようとしている。 (8)子どもの育ちを評価する方法の開発 小学校や中学校では,毎時間の学びを写真や言葉で振り返り,それらをICT機器を活用してポートフォリオのような形で残す取り組みを進めている。「何を学んだか」だけではなく,「どう学んできたか」という学び方のよさを自覚するためには,有効な手段である。また,校務支援システムを使って各期末や要録の評価?評定を算出?記録したり,採点支援システムを使って,定期テストの採点?記録をしたりと,目的に応じてICTを活用しながら,study-logを蓄積している。 ①小学校低学年における,「学びの領域(ことば|かがく|くらし|ひょうげん)」新設への対応 ②小学校高学年における,教科「英語」「技術」新設への対応 ③中学校における,「総合的な学習の時間」や「教科等横断的な学習」の充実への対応 保育者は,A児の日々の遊びの姿を週毎に作成する「遊びの環境の構成図」に書き込み,A児が見つめている対象,A児の「思いや願い,問い」,環境の再構成について,他の保育者とカンファレンスを重ねた。そして,木片やペーパー芯の組み合わせ方を試しながら遊ぶA児の思いを,「木球の軌道をコントロールして遊んでいきたい」と捉え,A児が木球の軌道を自分で変えながら遊んでいける環境を保障したいと考えた。 A児は豊かな遊びの経験を積み重ねながら,繰り返しものにかかわることで,同じものを見ても,違ったものの見方でものとかかわっていくことができるようになっていった。「もっとこうしてみたい」「こうしたらどうだろう」という「思いや願い,問い」をもって対象にかかわり,対象からの働き返しを受けてさらに「思いや願い,問い」を膨らませていく姿は,自分でやろうと決めた【遊び】だからこそ見られる姿であり,「探究的な学び」の姿だと考える。 「遊びの環境の構成図」を用いてカンファレンスを行うことによって,子どもがどのように伸びていこうとしているのかという方向性を保育者が意識できるようになり,保育者の意図や願いを鑑みながら,教育目標である「遊びにうちこむ子ども」を支える環境を構成できるようになりつつある。 (2)小学校低学年~遊びの中の感受をつなぎ,緩やかに統合していく【遊びの領域化】~ 【事例①】単元名:「じぶんのせん,じぶんのいろ」(小1 かがく領域) 6月上旬に,水書用筆との出会いの授業を設定した。水書用筆を手に持った子どもたちの表情は,喜- 6 -
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