5年次 実施報告書
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‐19‐ さらに伸びていくような場面をつくるなどの支援をしていくということであり,それは,子どもを肯定的に捉え,もっとその子どもを肯定的に捉えうるような場面をまなざしていくことである。 また,そのように,目の前の子どもが,「何に心を動かされているのか」「何を楽しいと思っているのか」と,その子の「思いや願い,問い」を探ったり,他の職員と子どものよさや学びの姿を共有したりする中で見えてきた,「自己表現力」(自分らしく表現する姿など)や,「課題探究力」(自分なりのこだわりを追究する姿など),「社会参画力」(友達と一緒に協働する姿など)を,本学校園の子どもに内在するよさとして捉え,その3つを,本学校園の子どもを見つめる共通の視点としている。今では校園種を超えて,この「3つの力」を視点に,子どもの姿を捉え,その子の高まりや変容を語り合えるようになってきている。 子どもがもともと持っている資質?能力の強みである「3つの力」を視点に子どもの姿を見ていくと,子どもは自分の「思いや願い,問い」をもとに,とことん活動にうちこんだり,とことん追究したり,探究したりしていることがより鮮明に見えてきた。そして,他の資質?能力の要素を巻き込みながら,豊かに学んでいけることが見えてきた。こうした見方を共有しながら私たちは,「たくましく心豊かな地球市民」に向けて「「思いや願い,問い」をもとに,やりたいことや目標に向かって「3つの力」を発揮している姿=学び」を幼小中12年間通して支えるための教育課程を編成しようと考えた。 ②「子どもに内在する資質?能力「3つの力」」と資質?能力の「三つの柱」 私たちは,子どもは地球市民としての何らかの資質?能力をもともともっていると考え,「3つの力」を子どもに内在する資質?能力のうちの強みとして見いだした。そこには,「資質?能力を外側から操作するもの」という発想をできるだけ排し,「その子がもともと持っている資質?能力の顕在化を支援する」とか,「その子がもともと持っている資質?能力が拡充したり深まったりするように学習環境を整える」ことが大事だという考え方が通底している。 教育課程の編成や単元や授業をデザインする際には,子どもの「3つの力」の顕在化を支えるために,子ども自身が自分の問題解決の手腕?能力?やり口を,自分の意志と判断に基づき,自分で十分にコントロールできる場や時間を保証しようとしてきた。また,「3つの力」を拡充するために,子どもが,自身の学びを知識?技能の獲得にとどめることなく,それらを初めて出会う問題解決場面で効果的に活用する思考力?判断力?表現力等,汎用性のある認知スキルまでに高め,さらに粘り強く問題解決に取り組む意志力や感情の自己調整能力,直面する対人関係的困難を乗り越える社会的スキルの育成にまで広めることを目指してきた。 そのようにすることで,子どもは自分の強みを生かし,資質?能力の他の要素を巻き込みながら学び(図1),問題解決の手順や方法を自覚し,整理し,どの状況で使えるか判断しながら,より質の高い問題解決を行うことができるようにもなってきている。 従って,そのような学習状況の評価に当たっては,資質?能力の「三つの柱」(「生きて働く知識?技能の習得」「未知の状況にも対応できる思考力?判断力?表現力等の育成」「学びに向(図1)様々な資質?能力を巻き込みながら学ぶイメージ

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