‐32‐ しかし,全部をグラフにかきたいというG児の自信の現れた表情を見て教師は項目をまとめるよう促すことはせずに「うん。そうだよね!」と受容した。そのことによってG児の学びは促進され,G児の「思いや願い,問い」に向かって探究していった。以下は,授業後半のG児と教師のやり取りである。 教師:「いま何をしているの?」 F児:「グラフを透明にしているの」 教師:「なんで透明にしているの?」 F児:「てっぺんの数字を見やすくするために!」 教師:「なるほどね。たしかに見やすくなっているね!」 この段階では,G児がグラフの形(数量が多い順に並べたり,項目をまとめたりするなど)を見ているのではなく,より良いデザイン性を求めて探究していると教師が捉え,「たしかに見やすくなっているね。」と受容する言葉がけを行った。以下の図はG児が実際に作った棒グラフである。 ※実際の図は背景が水色,各棒グラフが色分けされている。以下G児の授業後の振り返りである。 今日,学校のクロムブックで,わたしのアンケートのけっかを,たてぼうグラフにして表しました。わたしは,折り紙のおってあるすきな物をアンケートにしました。しゅるいが多くて数えたり,書いたりするのが大変でした。一番多かったのは,ペンギンとひこうきです。みんな,グラフで3Dにしたりしていて,わたしのグラフは,にじ色にしてそして上に数字をつけてとう明どを50にして上の数字を見やすくしました。わたしはグラフを作るのがすきなのでこんどグラフを作る時は,見やすくて,カラフルなグラフをきれいに作りたいです。 この振り返りからもわかるようにG児はデザイン性を中心に探究していた。教師がG児の思いを断ち切ることなく受容できたのも,その後の活動の中で学級全員が作った棒グラフを見合う場を設定することを教師が想定していたからである。「項目は多い順に並べた方が見やすくなるよね」「項目をまとめたり,188bet体育_188bet备用网址を使ったりすると全体の特徴が見えるね」「横棒グラフにしてもいいね」といった別の視点から棒グラフを見やすくする方法を単元の後半でG児が獲得していけばよいと教師は判断した。 3)教師に求められるもの 小学校低学年では,ある事象に対して一面的な見方?考え方にとらわれることなく,子どもの「思いや願い,問い」に基づき活動が展開されていく。G児のように棒グラフを見やすいように項目をまとめる形ではなく,色などによるデザイン性を求めて探究する子どももいた。そういった低学年の子どもたちの多様な見方?考え方を教師が受容することが必要だと言える。それと同時に,高学年の各教科の「見方?考え方」や,今子どもたちが取り組んでいる内容がこの先どのように発展し統合されていくかという教科内容の系統性についても的確に押さえて
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