附属松本中6年次 実施報告書
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【事例①】 単元名:「アルティメット-DISCをつないで,ゴールを目指そう」(中2年 保健体育) 「今日は体育があるから嫌だ」と日記に記述するOさん。そんな体育嫌いの運動やスポーツが好きではない生徒,得意でない生徒がもっと自由に運動する楽しさや運動ができてくる面白さを味わいながら,自分の適性やチームでの役割に応じ,積極的に取り組んでほしいと考えた。そこで,生徒が運動への関わりに親しみをもち,探究的に学ぶことで「できそうな私」から「できてきた私」,そして「できてくる私」を自覚できるような授業を構想した。 最初の授業で,Oさんは,アルティメットで使用するディスクに触れ,まっすぐ投げるために投げ方を試したり,仲間とパスをしたりしながら,アルティメットという競技に対する期待感を高めていた。しかし,試合形式の練習になると,どう動いたらよいか分からず,悩み,立ち止まる姿が見られた。どう動けばよいのか分からないという課題に直面したOさんは,その後,どうやって動けばパスをつなぐことができるのだろうという問いをもち,パスがつながるための自分の課題やチームの課題を見付け,課題の解決に向けて技能を高めようと練習したり,班で作戦を話し合ったりした。アルティメットなどのゴール型競技は,一瞬一瞬で,状況が変わってしまい,後で再現することが難しい。そこで,教師は,「チームで作戦を考えたり,協力したりする楽しさ」を感じてほしいと考え,練習や試合を撮影し,自分たちの動きを動画で確認できるようにしたり,活動の後に振り返りの時間を確保し,生徒同士でそれぞれの動きのよさを共有できたりするようにした。空いた空間に走るOさんの動きのよさを認めてくれる仲間の声がけや,自らの動きを映像で確認することで,Oさんは「できてきた私」を実感し,「もっとチームのために動きたい」という願いをもち試合に臨むことができるようになっていった。 【事例②】 単元名:「「1D Recreation Party 」(New Horizon English Course 1 Unit8 A Surprise Party) H教諭は自らの実践を振り返り,言語活動を位置付けることはできていても,その言語活動が生徒の必要感に応じていなかったり,指導の場面で生徒が伝えたいことや表現したいことを支えたりすることができていないと自らの授業を認識していた。そこで,生徒の「思いや願い,問い」を中心に据え,単元内で必要感に応じた言語活動を複数回位置付けることで,生徒が伝えたいことや表現したいことを求め,探究的に学びを深めていけるようにした。 Kさんは,マット先生がどのようなことに興味や関心をもっているのか知り,その情報を基にマット先生と共に行うレクをどれにするのか,みんなで検討したいという願いをもった。そこで,教師は,生徒がマット先生にインタビューする機会を設け,マット先生の思いに寄り添い,マット先生と仲を深めるためのレクを検討できるようにした。マット先生へのインタビューでKさんは,マット先生が外での遊びに興味をもっていることを知った。しかし,その情報と,自分が考えたレクをどのように結び付けて,グループの友達に説明しようか悩んでいる姿が見られた。そこで,教師は,「Matt(He) said “〇〇”, so I think 〇〇」という表現の仕方を提示することで,インタビュー調査で得た情報を基に,自分の考えを述べられるようにした。新たな表現方法を獲得したKさんは,グループの友達が,「Why do you think can kicking is good?」とKさんに尋ねると,「We can enjoy this game. Matt said…なんだっけ?”I like outside game.”」と自分の考えを友達に伝えることができるようになっていった。 【事例③】 題材名:「鯛萬の井戸 憩いの場プロジェクト」(2年 総合) 担任のY教諭は,自らのクラスの学級総合を振り返り, 探究のプロセスの中でも「整理?分析」,「まとめ,表現」に対する取組が十分でないという課題をもっていた。そのため,活動が単発的に(1年 英語) - 7 -

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