- 20 - (2)「学びの総合化」における各校園における取組~実施した指導方法等の特徴~ ①幼稚園 ~自分の「やりたい」という思いをもって主体的に対象にかかわる【遊び】 幼稚園では,主体的に遊ぶ子どもは,自然と「自己表現している姿」「課題探究している姿」 「社会参画している姿」の『3つの姿』を見せているという保育者間の共通認識のもと,本園の教育目標である「遊びにうちこむ子ども」の実現に努めている。そのために,保育者は,対象にはたらきかけていく時の子どもの姿から,“どんなふうに遊んでいこうとしているのか”“何に楽しさを感じているのか”という思いを捉え,保育者間のカンファレンスを通して考えると共に,遊んでいる子どもの姿やその時の思いの捉えの記録をもとに週案を作成し,次週の環境構成や直接的な援助を考えている。そのようにして遊びの環境を再構成しながら,子どもが主体的に遊びを継続していくことができるようにしている。また,季節や行事に関わるその時期ならではの遊びや,その時の発達段階だからこそ楽しめる遊びなどを,保育者の意図や願いと合わせて考えることで,子どもたちが豊かな遊びの経験を積み重ねていけるようにしている。 また,保育中は,保育者が一人一人の子どもとどうかかわっていくかという直接的な援助を大切にしている。目の前の子どもの「やりたい」という思いを捉え,それを根拠に“今は声をかけて一緒に遊んでみよう”“今はそばでじっと見守ろう”と適切な援助を考え,行っていくことで,子どもの育ちを日々支えている。 ②小学校低学年 ~その子らしく対象とかかわる【遊びの領域化】~ 小学校低学年では,幼稚園で遊びにうちこんできたからこそのその子らしい対象との関わり方を支えるために,「ことば」「かがく」「くらし」「ひょうげん」の4つの領域を設定した。 子どもが「自分の探究課題」から始まる活動中のその子らしい対象との関わり方を受容できるように,事象を多面的に捉え,子どもの発達に応じた探究を保障したいと考えている。そして,「3つの姿」を視点に,子どものよさを検討し続けている。子どもの発達段階,習熟度,経験値を考慮し,その子らしい探究が保障されるよう,教師はその子の何を捉えて,どう評価し,どう判断し,どう動くかといった教師の思考?判断についての検討を,学年?教科等の枠を超えて重ねていく。そこでは,子どもがどのような学びをしてきたか(過去),そしてその子どもは何と対話しているか(現在),さらにはその子どもはこの先どうあるか(未来)を連続的に捉えることを試みている。45分でのねらいに固執して教師の思考?判断があるのではなく,単元全体を俯瞰して捉える中での教師の思考?判断を大切にしている。 ③小学校高学年 ~各教科の見方?考え方も活用して探究していく【領域の教科化】~ 小学校高学年では,低学年時の特徴に加え,もっと詳しく知りたいと願い,より各教科の見方?考え方を求めるようになっていく。そんな子どもに対して,教師は,それまでに獲得した素朴でバラバラな概念を,束ねたり深めたりしながら探究的に学べるよう,領域から教科に接続し,単元や授業をデザインしている。 実際,子どもは,これまでの経験によって積み上げられた具体物を用いた学びから,目では捉えにくい抽象度の高い学びに対して興味関心を抱いている。そこで教師は,身の回りの経験では得られない新たな世界を開拓していけるような場を位置付けている。 ④中学校 ~自己の学びを自覚的に把握しながら探究を深めていく【教科等の総合化】~ 中学校では,社会の入り口に立つ中学生が,各教科等の見方?考え方をとことん働かせながら,自己の学びを自覚的に把握しながら探究を深め,生きた現実に対峙できる地球市民に育ってほしいと考えている。そのために,生徒の「思いや願い,問い」から発し,生徒が教科の枠にとらわれず,学びの場?方法?内容を総合しながらとことん探究し,一人一人が確かな学びを構成していけるよう,以下2つに力を入れて取り組んでいる。
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