附属松本中6年次 実施報告書
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- 28 - とで,物語の世界観を楽しんだ。2年生の「スーホの白い馬」の学習でも,最初と最後の場面における挿絵の比較から「美しい音ってどんな音だろう」という問いが生まれ,探究が始まった。M児は,溢れ出る自分の考えや思いを矢印で繋ぎ(マッピング)ながら,新たな問いを生み出し,そして答えていくというやり方で「美しい音」について考えていった。 M児:先生,すごい発見をよっちゃんとしちゃっ た。白馬は,本当はいないんだけど,スーホと心が つながっているんだよ。だから,ますますうつくし くひびくんだよ。 教師:どういうこと? M児:ただ,「うつくしく」ひびくじゃだめなんだよ。「ますます」がないとだめなんだよ。 教師:「ますます」が大事ってこと? M児:スーホにとって,家族みたいに大切な白馬は,本当はいないけど,心でつながっている から,スーホは,自分の横にいるように,想像しながら馬頭琴を演奏しているんだよ。 ※横でずっとMくんの話しを聞いていたいYくんが一言。 Y児:「だから『ますます』なんだよね」 M児:そう。スーホは,一人で演奏しているんじゃないんだよ。白馬と二人で演奏してるんだよ。だから,ただ「美しくひびく」じゃなくて,「ますます,美しくひびく」なんだよ。美しい音は,スーホと白馬の二人だから出せる音だと思う。 まるで自分が村人の一人になったかのように最後の場面におけるスーホの奏でる馬頭琴の音色の美しさについて語ったM児。ただ自分の思いを語るのではなく,自分がマッピングしたノートを見せながら,「ここにこう書いてあるでしょ」と言いながら自分の考えを説明した。その中でM児は,白馬に出会う前のスーホは「ただの音楽名人」と書いていた。そして,馬頭琴になった白馬を「曲上手」と書き,その二つを結びつけ,「美しい音」を「スーホと白馬が二人揃って出せる音」と結論づけた。白馬に出会う前のスーホと,出会った後のスーホの変容を「ますます」という言葉を手がかりに,対比させて考えたのである。 これら2つの事例では,2年生の領域において「自分の探究課題」解決に向けて,その子らしい対象との関わり方で探究している姿と言えるだろう。 (3)領域と教科の接続のタイミング ~教科における子どもの対象との関わり~ 【事例①】単元名:「植物の育て方」 【3年 かがく領域】 小学校3年生の「かがく領域」では,パンジーやビオラ,コスモスを育てた。 子どもたちは,「似ているけれど,ちょっとだけ違う」パンジーとビオラの種,そして「まったく違う」コスモスの種を目の当たりにし,色や大きさ,形,模様の違いを,虫眼鏡やマイクロスコープを使いながら探していった。似ている種にも違いがあることや,種は種でも,まったく異なる種があることを見つけた子どもたちは,自然と「成長するときにはどんな違いがあるのかな」と,わくわくしながら種まきを行った。 数日後,土の中から顔をのぞかせた小さな子葉の姿に,自然と感嘆の声を上げた子どもたちは,やはり,「似ているけれど,ちょっとだけ違う」パンジーとビオラの子葉,そして,「種も全然違ったんだから,やっぱり全然違う」子葉の様子に不思議さと驚きを感じていた。 しかし,さらに数日後,せっかく発芽した芽のほとんどが枯れてしまう,という出来事がおきた。元気に育っているはずだ,と信じてポットを覗いた子どもたちからは,「なんで!?」とショックと落胆の声が上がった。子どもたちそれぞれの中に,「きちんと,大きく育ってほしい」という願いが生まれた瞬間であった。 子どもたちは「肥料をあげていなかったから」「水をあげすぎたのかもしれない」「水が足りなかったのかもしれない」「太陽の光に当てていなかったから」「温度が熱すぎたり寒すぎたり

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