(4)中学校~学びの先にある新たな自分を予感し,確かなものにしていく【教科等の総合化】~ 一昨年度より生徒の探究的な学びを支えるために,全教科?領域で「探究のフレーム」を作成している。「探究のフレーム」は,全教科?領域で探究的な学びをデザインする際に大切な足場となるものである。探究的な学習は,「課題の設定」,「情報の収集」,「整理?分析」,「まとめ?表現」といった問題解決的な活動が発展的に繰り返されていくが,この流れが生徒の「思いや願い,問い」に基づいたものでありたいと考えている。中学校ではその中で特に,「教材との出会い」の場面で,生徒の心がどう動くのか,模造紙に書きだしたり,何人かの教師で実際にやってみたりしながら見通している。その教材を通して自分の生活や世界の見え方が変わってくるという予感が,子どもにとっての驚きやワクワク,疑問などを生み,探究的な学びのエネルギーとなるのだとえている。また,自分の「思いや願い,問い」からとことん追究していく中で,自分の問いを連続させ,その質を変容させながら教材の本質に迫っていくための教師の支援として,「省察」場面をどう位置付けるかということを大切にしている。省察の中で,それぞれが追究してきたものが多面的に統合されたり,批正されたりしながら,学びは立体的に構成されていく。教師は探究的な学びをデザインする際,生徒が立ち止まらざるを得ない場面や,学びを振り返らざるを得ない場面を位置付け,問いの質の変容を支えている。そして,単元末には,探究的に学んできたことが,「今の自分やこれからの自分にとってどういうことであるのか」と考えるなど,生徒が自分の生き方や前提を問い直し,編み直していく姿や場面をまなざしている。 - 30 - なりきるのではなく,読者目線で物語を読むことを体験し,違和感の原因について,「悲しいのは,読んでいる自分なんだ。ちいちゃんが喜んでいるから,余計に悲しいんだ」と,納得していった。 これら2つの事例では,もっと詳しく知りたいと願い,素朴な概念が上位の概念へ移行した際に感じられる探究する楽しさを味わい,探究がよりその教科ならではの見方?考え方に焦点化され,自ずとその教科の学習内容が把握されたり習熟されたりしている姿と言える。さらに「自分の探究課題」が生じることによって,対象との新たな関わりが生まれ,探究する姿であると言えるだろう。 以上のことから,2年生と比較をしたとき,対象との関わりに大きな変化がみられる3年生においては,領域から教科への接続のタイミングを捉え,かがく領域?ことば領域という位置づけではなく,教科として位置づけることが妥当であると言えるだろう。 総合的な学習の時間については,実生活や実社会にある「もの?ひと?こと」と具体的に関わり,その中で生まれる生徒の「思いや願い,問い」から,学級ごとにテーマや活動を立ち上げている。中学校では3年間クラス替えがなく,学級担任は同じ学級を3年間受けもつ。総合的な学習の時間の学習単位は学級とし,「学級総合」を行っている。学級担任は,3年間の学級総合の中で育みたい生徒の姿と,そのために考えられる活動等の見通しを「総合カレンダー」として表す。「総合カレンダー」を全教員で共有したり,「総合を語る会」を開催し,各学級の総合の活動内容や成果および課題を語り合ったりすることで,教科担任が学級総合との関わりを意識した教科の授業を展開し,教科の学習と学級総合の学びが往還できるようにカリキュラムマネジメントを試みている。 【事例①】 「生徒の実態,興味や関心」,「単元で育成すべき資質?能力」,「教材の特性」の三つの観点からの 教材188bet体育_188bet备用网址が生徒の探究的な学びを支える 単元名:「アルティメット-DISCをつないで,ゴールを目指そう」(中2年 保健体育) ⅰ)生徒が探究的に学んでいるイメージを思い描き,必要となる支援を構想するための教材188bet体育_188bet备用网址 「今日は体育があるから嫌だ」と日記に記述するOさん。そんな体育嫌いの運動やスポーツが好きではない生徒,得意でない生徒がもっと自由に運動する楽しさや運動ができてくる面白さを味わいながら,自分の適性やチームでの役割に応じ,積極的に取り組んでほしいと考えた。そこ
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