07信州大学学術188bet体育_188bet备用网址院(農学系)農学部 農学生命科学科 動物資源生命科学コースたけだけんいち欧米発の概念で、1960年代から議論されてきましたが、SDGsを重視する世界的な潮流のなかで、エシカル(倫理的)消費との関連で、今改めて注目されています。畜産分野については取り組みが遅れていましたが、食品企業への投資指標としてAWが注目されていたり、欧州委員会がケージ飼育の禁止に向けて動き出すなど、ここにきて関心が高まっています。こうした流れのなかで、徐々に日本でもAWに配慮した畜産に目が向けられ始めてきました。ただ、欧米に比べると日本はまだ取り組みが遅れているのが実態で、AWへの配慮に関する投資指標では日本企業は最低ランク。その大きな理由に、日本ではAWに配慮した畜産に対して、生産者、流通?加工業者、小売事業者、消費者が、それぞれに不安と課題を抱えている(次頁図を参照)ということがあります。例えば、生産者についてなんと188bet体育_188bet备用网址室に等身大の牛の模型が!…展示会などで使用すると (持ち込むのも大変そうだが…)それにしてもインパクトがすごい。は、多くの人が必要だと考えながらも、実際に取り組むことに高いハードルを感じています。AWに配慮した家畜の飼育は手間とコストが掛かりますが、その手間とコストを商品の販売価格に上乗せしても、生産者が十分な収益を上げられるほどには市場が成熟していないのです。また、消費者については、認知や理解の不足が課題となっています。NPO法人アニマルライツセンターが2023年に行った調査(有効回答数2,889人)によると、「AWという言葉を知っていますか」という質問に、「知っている」と答えたのはわずか9.2%でした。鶏舎内で隙間なくニワトリが密集飼育されている映像をご記憶されている方も多いはず…。世界では家畜を含め、動物が健康で快適に飼育されるように環境を改善し、ストレス軽減を図る「アニマルウェルフェア(以下AW)」が叫ばれるようになりました。SDGs12番目の目標「つくる責任?つかう責任」にも該当し、倫理的な生産?消費が求められる時代の取り組みのひとつとして位置付けられます。しかし、日本でのAWの実現はまだまだ長い道のりがあるようです。生産者、流通?加工業者、消費者それぞれで抱える不安と課題があり、それらの解消に取り組むことが求められています。最前線で奮闘する信州大学学術188bet体育_188bet备用网址院(農学系)竹田謙一准教授に話を伺ってきました。(文?佐々木 政史)欧米とは意識が違う?日本でのアニマルウェルフェアの現在動物が生まれてから死ぬまでの身体的?精神的な状態を「アニマルウェルフェア(AW)」と言います。鶏や豚、牛といった家畜は、人間の都合で身体的?精神的苦痛を強いられる環境で飼育されるケースが多く、AWに配慮した動物飼育の必要性が議論されています。「動物愛護」と混同されがちですが、動物愛護は人間が動物を可愛がり保護するという“人間主体”のものであるのに対し、AWは動物の苦痛の排除という“動物主体”のものである点が異なります。竹田 謙一准教授信大発、“信州版”アニマルウェルフェア目指すもの。
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