信州大学人文学部SHINSHU_UNIVERSITY_FACULTY_OF ARTS_GUIDE_BOOK_2025
61/68

59 私は在学時、比較文学分野というところで学んでいましたが、「分野」という概念は解体されるそうで、だんだんと過去がしっかり過去になってゆくのだな、という感慨があります。私が過ごした時間はすでに過去のものですから、そこから個人的な体験を語っても、それはすでに、あまり読む方の役には立たない情報になっているかもしれません。 「学部を卒業した後の人生どうしようかな」ということを考えるにあたり、自分の心の内を言語化する力がまずは必要だと思います。つまり、何が好きで、何が嫌いで、許容できるもののラインはどこで……ということですね。そういったことを考える際、人文学部で養われる力はきっと助けになることと思います。でも、そうでなくてもいいと思います。20歳前後で何か人生のすべてが決まってしまうわけではきっとないですし、偉そうにこの文章を書いている私も、読んでいる皆さんといくつも違いません。この先何を選んでも、どうせいつかは何か後悔すると思うので、せめて自分で選んだということには納得できるといいと思います。選ぶということは考えるということですから、やっぱりいくらか、人文学部で考えることは助けになるでしょうか。 入学された方にも、ここを読んだけど入学はしなかった方にも、どうか行く先に幸が多くありますように。 大学を受験するに当たっては、自分のやりたいことや、学びたいことを考えると思います。ただ私は、高校生のころに自分が何をやりたいのかよくわかっていなかったし、その学部でどんなことが学べるのかよく知らなかったので、大学選びや学部選びに戸惑った記憶があります。信州大学人文学部は、1年生の間は、人文学のさまざまな分野の概論を学び、2年生から専攻分野を決めて、より専門的に学んでいくという特徴があります。そのため、大学入学後、実際に学問に触れながら、自分の興味にじっくり向き合うことができました。自分の興味がわかってくると、自然とやりたいことが明確になり、目標を立てて、実行することができたように思います。私の場合は、留学という夢を叶えることができました。 今私は、家庭裁判所で家庭裁判所調査官として働いています。仕事でお会いする方々は、その方の人生においてとても困難な状況にある方が多く、どうすればよりよい解決ができるのか、毎日悩んだり迷ったりしていますが、大学で得た知識や経験すべてが生かされていると感じています。 最後に、信州大学では、全国から学生が集まってくるので、いろいろな友達ができますし、上高地や阿智村などのリフレッシュできる観光地が近く、勉強以外の学生生活も充実させることができるのではないかと思います。折井大哲2021年卒業丸善出版株式会社前田智子2020年卒業宇都宮家庭裁判所栃木支部卒業後の将来を考えるにあたり、まず自分の心の内を言語化する力が必要自分の興味にじっくり向き合うことで、目標が見えてくる

元のページ  ../index.html#61

このブックを見る