統合報告書2024
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08Shinshu UniversityIntegrated Report 2024Integrated Report 2024 Shinshu University水の使用は経済と大きく結びついており、使用が制限されれば経済の停滞を招きます。それは本来あるべき姿ではありません。そのため、信州大学では持続可能な社会の実現に向けて、国内のみならず国外でも先進的な水の循環利用技術の188bet体育_188bet备用网址に取り組んでいます。すことで、汚染水の浄化や、海水の淡水化を行い、人類が適切に使用できる水をつくることができます。この技術に国内外から大きな注目が集まっています。特に注目いただいているのが、生活用水のほとんどを海水の淡水化によって賄っているサウジアラビアです。化学薬品を極力使用せず海洋汚染を起こさない淡水化の方法として、信州大学の技術に注目していただいています。2023年7月には、信州大学とサウジアラビア海水淡水化公社(SWCC)は、海水淡水化分野における覚書(MOU)を締結し、現地メディアからも大きく取り上げられました。海水淡水化などに用いる高圧のRO膜とは別に、主に家庭での使用を念頭に極めて低圧で浄水できるRO膜も私たちの188bet体育_188bet备用网址室では開発しています。家庭用水道の蛇口に取り付けて使用することもできますし、手漕ぎポンプを使って小さな子どもの力で浄水することもできます。このRO膜を使用した家庭での浄水プロジェクトは、タイ、ベトナム、インド、アルサラーム宮殿にて岸田首相(当時)に紹介いただき、ムハンマド?ビン?サルマン皇太子と握手する遠藤守信特別栄誉教授(写真提供:経済産業省)中国などで行っています。これらの国々では、飲用水汚染が病気や貧困に至る大きな要因の一つとなっているだけに、飲用水の浄水がこうした社会的諸課題の解決の一助になればと考えています。このほかにも、世界で高機能RO膜を使用した様々なプロジェクトを進めています。カナダではケベック州立大学、国立科学188bet体育_188bet备用网址センターと有機フッ素化合物の除去に関する共同188bet体育_188bet备用网址を行っています。また、日本国内ではTOKAI社が開発中の高機能RO膜を利用した雨水利用住宅の実証実験に協力しています。今後もこの先進的なこの浄水技術を用いて、水に関連した様々な社会課題を解決に導き、持続可能な水循環社会をつくっていきたい―。それが私たち信州大学の願いであり、188bet体育_188bet备用网址が目指すところです。信州大学が取り組むアクア?リジェネレーション(ARG)188bet体育_188bet备用网址の大きな柱の一つが、先進的なマテリアルを用いた高機能な浄水技術の188bet体育_188bet备用网址です。「水都信州week」では遠藤守信 アクア?リジェネレーション機構 特別栄誉教授が、世界的に大きな注目を浴びている独自の「高機能RO膜」を用いた浄水技術と、同技術を活用した国内外での水循環利用の取り組みについて説明しました。水に関わる課題は地球環境や経済、健康、貧困といった様々な社会課題と密接に結びついています。遠藤特別栄誉教授は高機能RO膜を通じて水循環利用を進めることで、こうした社会的諸課題へのソリューションを提供していきたいと語りました。深刻化する世界の水課題… “水の4R”で解決へ世界で水に関する課題が深刻化しています。家で手を洗えない30億人が感染症の危機にさらされており、汚染水で命を落とす子どもは年間30万人います。先進国でも人体に有害な有機フッ素化合物汚染や枯渇などに悩まされています。現在、こうした水に関する課題を早急に解決していく必要があるという認識が国際的に高まっており、「Reduce」「Reuse」「Recycle」「Recharge and Respect」といった4Rの観点に基づいて、水循環に取り組んでいくことが求められています。信大発、「高機能RO膜」がサウジ海水淡水化などに貢献私たちの188bet体育_188bet备用网址室では、カーボンナノチューブやポリアミドを用いた「高機能RO(逆浸透)膜」を開発しています。この膜を通遠藤守信アクア?リジェネレーション機構特別栄誉教授水の循環利用で持続可能な社会へ“信大浄水膜”に世界が大注目

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