ビジョンと経営戦略活動実績ガバナンス人と地域の資産財務情報発達障がいを持つ方と暮らすこれからの社会の在り方について長谷川アナ:発達障がいの方が生きていく社会のあり方について、センター長はどう思われますか。本田センター長:課題があるとすると、一般の社会の中で発達障がいの人が当たり前に生きていくということが、まだちょっとハー思い切って学校の在り方を変えていきたい。子どもたちが多様な個性や能力、関心、特性にあった学びを得られるように。(阿部)11Integrated Report 2024 Shinshu Universityドルが高いかなという気がしています。文部科学省の調査で通常学級の中の8.8%のお子さんに何らかの発達の心配があるというデータがあります。もし実際にそうだとすると、発達障がいのお子さんはいわゆる特別な教育ではなくて通常のクラスの通常の教育の中でこそ支援していかなくてはいけないということになります。また、そういう方々が一般の社会の中で一般の会社などに勤めていただかなくてはいけないですね。阿部知事:長野県では「障がい者共生条例」を2022年に施行していますが、この条例を作ったときに障がいとは何なのかということを改めて考えました。そこで思ったことは、身体的ハンディキャップで障がいになっている部分だけでなく、社会的な障壁が障がいになっている部分があるということです。社会のシステムがマイノリティにとって大変生きづらく暮らしづらい状況になっている。この社会的な障壁の部分を変えていくことが、これから障がい者の方たちが生きやすく働きやすい社会を作っていく上で重要だと思っています。 こうしたことから、教育についても教育委員会と一緒に思い切って学校の在り方を変えていきたいと思っています。具体的には、子どもたちが多様な個性や能力、関心、特性にあった学びを得られるような学校を作っていきたいと考えています。本田センター長:全く同感です。発達障がいの領域では、「ニューロダイバーシティ(神経学的多様性)」という言葉が最近のトレンドの一つとしてあります。これは、発達障がいを治療しなくてはいけない病気と捉えるのではなく、神経学的な“個性”と捉え、その個性に合わせて発達障がい者の社会参加のあり方を考えようということです。まさに今知事がおっしゃったことと同じようなことを我々発達障がいの188bet体育_188bet备用网址者も考えています。 特に発達障がいの方は、好きなことや得意なことで才能を発揮する方がおられますが、現代の画一的な社会ですと、全てを満遍なく中くらいにできる人が最も得をするようになっています。こうした中で、発達障がいの方たちはそこでハンディを感じることがあるものですから、そうではなくて適材適所というキーワードをうまく使っていけるといいなと思っているところです。発達障がい者への支援の在り方について長谷川アナ:発達障がいに対する支援についてどのような取り組みをされているのか、お二方からお話をいただきたいと思います。阿部知事:この発達障がい情報?支援センターや「発達障がいサポート?マネージャー」※などの重層的な支援体制をこれまで作ってきています。 同時に教育や福祉といった分野で発達障がい者へのサポートに携われている方たちの専門性や知識を引き上げていく必要があります。これまでも取り組んできていますが、一層充実させていきたいと思っています。※)発達障がいサポート?マネージャー(サポマネ):全年代、全分野における発達障がい者支援の知識及び経験を有し、各圏域の実情に応じ、発達障がい者に直接関わっている支援者に対して総合的な助言及び必要な支援への橋渡し等を行う者。(「長野県発達障がいサポート?マネージャー整備事業実施要綱」から抜粋)本田センター長:県の役割として、発達障がい者当事者のご家族など、発達障がい者を支援する方へのサポートの役割がとても大きくなってくると思っています。現状では、発達障がいの支援者へのサポートは主に市町村の役割になっていると思うのですが、現在、センターで考えているのは、発達障がいに関する心理検査ができる人をもっと増やし、より身近なところでしっかりと発達障がいの評価が受けられるようにしていきたいと思っているところです。長谷川アナ:それでは最後に、お二人からそれぞれ一言ずつお願いしたいと思います。本田センター長:サポート?マネージャーについては充実してきているのですが、残念ながら地域格差が生じています。現状は、県内の圏域ごとに1人ずつ配置するかたちになっていますが、圏域によって人口が少ないところと多いところがありますので、特に長野圏や松本圏といった人口の多いところは、サポート?マネージャーの支援が足りていないというのが実情です。第2特集発達障がいを病気と捉えるのではなく、神経学的な“個性”と捉えることが重要。(本田)阿部知事:本田センター長からのご要請については、しっかりと対応するようにしていきたいと思います。そのためには、今までの社会システムのあり方や今まで当たり前となっていたものを変革していかなくてはいけないと思います。教育のあり方も大きく変革をさせていきたいと思いますし、働き方も非常に画一的でありますので、発達障がいの皆さんも含めて様々な能力や個性を持っている人たちがもっと自分の能力を発揮しやすい働き方を経済界の皆さんと一緒に作っていきたいと思っています。長谷川アナ:阿部知事、本田センター長、本日はどうもありがとうございました。ビジョンと経営戦略01
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