ビジョンと経営戦略活動実績ガバナンス人と地域の資産財務情報INTERVIEW誕生したのでしょう。神田:これまで防災は行政の公助による取り組みが主でしたが、それだけでは対応しきれなくなっており、今後は市民一人ひとりによる“自助?共助?協働”を充実させて災害に備える必要性が出てきています。こうした背景から、「信州の防災学」を開講しました。定員120人に対してオリエンテーションでは約200人が集まり、防災意識の高まりに驚かされました。伊東:この授業は、教職学協働での取り組みが重要という理由で、学生だけでなく職員も受講できます。大学運営でも防災の重要性は増して27Integrated Report 2024 Shinshu University近年、日本では災害が多発化?激甚化しています。長野県でも2019年の台風19号による大雨や2023年の白馬村での土砂災害など大きな被害が発生し、防災に取り組む必要性がますます高まっています。災害の多くは、産業発展が優先され、地球温暖化が進んだことに起因しています。そのため本学では、「環境マインド推進センター」と「地域防災減災センター」から成るグリーン社会協創機構を2022年に設立しました。環境保全と防災を一体的に捉え、安全?安心な地域づくりと持続可能な社会の実現に向けて、総合大学ならではの強みを活かし取り組んでいます。担当者?受講生に聞きました!地域防災のリーダーを“教職学協働”で育成グリーン社会協創機構 地域防災減災センター 神田 孝文特任助教(防災士)総務部総務課職員(受講生)伊東 春香さん伊東 春香 さん(受講生)地域防災減災センターでは、全学共通科目として“自助?共助?協働”で地域防災に取り組むリーダー育成を目的とした「信州の防災学」を2023年度から新たに開講しました。本講座は職員も受講でき、「教員、職員、学生との関係がより身近になり、互いに高めあうことができる環境創り(教職学協働)を推進する」という本学の方針に基づいたものです。すべての授業に出席すると「防災士」の受験資格を取得できるのも特徴で、初年度は35名の防災士が誕生しており、2024年度は100名を目指します。本講座は次年度も継続し、フィールド実習を充実させるなどの発展を遂げていきます。神田 孝文 特任助教フィールドワーク(白馬村)伊東:災害が多発?激甚化する今の時代は、どのような職業や立場の人でも防災の取り組みが求められると思います。学生だけでなく職員も積極的に受講して教職学協働で災害に備える体制づくりを進め、地域の自治体や組織と連携できるといいですね。環境保全活動と防災活動を統合したユニークな組織災害に危機感をもって備える全学共通科目「信州の防災学」を開講おり、専門的な知識を身に付けるべく、受講しました。全国的にも珍しい授業と防災士資格試験の連動?「信州の防災学」にはどのような特徴がありますか。神田:最大の特徴は、全授業に出席すると「防災士」の受験資格を得られることです。通常は2日間、集中的に講義を受ける必要がありますが、その内容を16回の授業に振り分け、取り組みやすくしました。防災士は、NPO法人日本防災士機構が認証する民間資格です。全国の自治体や民間研修機関で取得が進められていますが、大学の授業との連携はあまり例がないと思います。伊東:産学連携による多彩な講師陣も特徴だと思います。学内は総合大学ならではの強みを活かし、文理を問わない講師が、学外は他大学やNPO法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワークから講師が招聘され、幅広く多角的な講義内容でした。例えば、“災害時のこころのケア”というテーマで、医学部の今村浩教授と教育学部の茅野理恵准教授の授業があり、違った観点からのアプローチが興味深かったです。また、熊本大学の竹内裕希子教授のカードゲームでロールプレイする授業を通じて、避難所運営の難しさを模擬的に体感できました。?今後の展望をお聞かせください。神田:2024年度は、白馬での復興ツーリズムの体験や地域住民と協働したワークショップ、学校での防災教育への参加といったフィールド実習を充実させます。そもそも本講義では、信州の自然環境と関連づけて防災を学ぶようにしており、山岳地であることなどの地域性の視点も授業で取り入れているので、実習を通じて、より効率的に信州における防災を学ぶことができると考えます。活動実績地域医療?先進医療環境への取組災害時における自助、共助を学生と職員が共に学ぶ―「信州の防災学」は、どのような経緯で教職学協働の充実を図り災害に備える体制をつくる「環境」と「災害」を一体的に考え、持続可能な社会を協創していく信州大学 グリーン社会協創機構は、環境配慮行動と災害への備えを連続的?一体的に捉え、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しています。02
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