出口さんは信州大学教育学部を卒業後、アパレルメーカーの香港駐在員などを経て、2009年に「香港精本棟づくりと呼ばれる庄屋さんの古民家を「できるだけ元の姿を残しながらリノベーションした(出口さん)」立派なWakka Agriの事務所兼農泊施設。なんと「いろり」やこだわりの炊飯釜まであり、裏にはヤギと鶏も飼っている。「採れたてで食べるTKGは最高」とのことでした。標高1,000mに広がる美しい棚田。Wakka Agriが整備する前は完全な耕作放棄地だったらしい。ご近所に住む94歳のおばあさんが「お嫁に来たときの風景を再現してくれた」と大変感謝されたとの尊いエピソードも伺った。米所 三代目 俵屋玄兵衞」のブランド名で海外初の日本産米専門店事業を開始。新鮮で美味しい日本米を世界に伝えることに取り組んでいます。店舗は香港を皮切りに、シンガポール、台湾、ホノルル、ホーチミン、ニューヨークと拡大。さらに、2024年にロサンゼルス、ロンドン、2025年にはニュージーランドへも新たに展開予定です。輸出量も年々拡大し、現在は約1,700トンにもなります。海外では食の嗜好の多様化で粘り気のある日本米を好む人が増えており、ニーズに対して供給が足りていないほどだそう。出口さんはこうした需要に対応しようと、海外を東奔西走しており、「まだまだ拡大できる余地は大きい」と話します。2019年からは「the rice stand」というブランドで海外でおにぎり屋の展開を開始しました。海外では日本米の美味しい炊き方についての知識を持っている人は少ないことから、お米が口に入る“ラストワンインチ(商品と消費者との距離、接点の意)”を現地の人に委ねるのではなく、おにぎり屋というかたちで自ら担い、「日本米の魅力を最大限に伝えたい」と話します。培った志を胸に、社会で活躍する素敵な大人たちで志を持っていきいきと活躍する信大同窓生を描くシリーズの第8回は、株式会社Wakka Japan、農業法人Wakka AgriなどからなるWakkaグループ代表の出口友洋さん(教育学部卒業生)をご紹介します。出口さんを最初に取材したのは8年前の2016年、濱田州博前学長との対談企画でした。これをきっかけに、出口さんは棚田保全などで信州大学とも昔からのなじみの深かった長野県伊那市長谷中尾地区への農業進出を実施。それまで手掛けていた海外での日本産米専門店事業に加えて、伊那市の限界集落で高付加価値米を栽培し海外で販売する事業にも着手しました。そして現在、これらの事業の一層の拡大を図るとともに、“むらづくり”にも力を入れていこうとしています。中山間地と海外をフットワーク軽く行き来しながら、お米に関わるユニークな事業に取り組む出口さんの魅力に迫ります。(文?佐々木 政史)ぐちともひろ11日本米を海外で年間1,700トン販売!“ラストワンインチ”でおにぎり屋もいわゆる限界集落と呼ばれる伊那市の長谷中尾地区、築130年の古民家をリノベーションしたオフィス兼農泊施設で、特製のかまどに手を置きながら「これで炊いたご飯は本当に美味しいんですよ」と話すのは、米?食味鑑定士という“米ソムリエ”の資格も持つ、Wakkaグループ代表の出口友洋さんです。chapter.08さん美味しい日本米を世界に輸出するお米ソムリエ。パワーアップしても変わらない“お米愛と地域愛”Wakkaグループ代表信大同窓生の流儀出口 友洋教育学部卒業生
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