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09本原画展等を通じて、長い間、親しくお付き合いさせていただいております。その縁が今回の寄贈につながり嬉しく思います。現場取材と生身の声に一貫してこだわり?ご寄贈いただいた本を拝見すると、ジャンルが本当に多種多様ですが、これらの本は柳田さんがノンフィクションの作品を執筆するために集められたものなのでしょうか。それだけではありませんが、そのような目的で集めた本も多くあります。現代社会では、ひとの人生とも濃密に*「柳田邦男文庫」は現在整理中。2025年度以降中央図書館に設置予定。しかし、その後、諸事情で松本への移住はとん挫し、必要な本を取りにいくためだけに、わざわざ東京の自宅から松本まで中央線あずさに乗って行くことが多くなりました。これではあまりにも非効率的ですので、この際、必要な最低限の本だけを残して手元に置き、あとは廃棄しようと思い、丸山さんに相談しました。丸山さんからその話を聞いた宮坂さんが「捨てるのは惜しい」と、信州大学附属図書館に寄贈の相談をしてくださったんです。図書館の方も、快くその申し出を受けてくださり、昨年10月に寄贈に至りました。宮坂さんとは絵本美術館での妻の絵学生へのメッセージを寄せた色紙とともに(左は聞き手)私は東京で暮らしていますが、20年以上前から毎年夏に3か月間、絵本作家である妻(伊勢英子氏)が安曇野?穂高の絵本美術館「森のおうち」で絵本の原画展を行ってきました。私も毎年一緒に訪問し夏を過ごす中で、安曇野?松本地域の風土に親しみを持つようになり、2017年頃に松本への移住を考えました。だんだんと高齢になり、若い頃のように全国を飛び回って取材することが将来的に難しくなってくるだろう、これまでの蓄積に基づいて、どこか地方で落ち着いて作家活動を行うのも良い―。そのように考えて、どこが良いかと思いをめぐらしたときに、松本が頭に浮かびました。松本に拠点を置く「岳俳句会」の主宰?宮坂静生さん(本名 敏夫、信州大学名誉教授)や建築家の丸山貴史さんを通じて住居を探してもらい、信州大学のすぐそばにちょうど良い和風住宅が見つかりました。それで、本格的に引っ越すより先に、蔵書の半分を松本に前もって移したんです。航空機事故、医療、災害、戦争などをテーマとした作品を数多く執筆し、戦後の日本を代表するノンフィクション作家のひとりである柳田邦男氏。2023年10月、その柳田氏から信州大学へ約1万5,000冊の蔵書を寄贈いただきました。附属図書館ではこれを記念し、2024年10月10日に寄贈図書贈呈式と記念講演会を実施。今回、その際に行った柳田氏へのインタビューを掲載します。(聞き手?信州大学附属図書館 副館長(事務担当)小島 浩子)(文?佐々木 政史)「柳田邦男文庫」寄贈記念インタビュー松本への移住を検討信大近くに書庫―今回、信州大学にとても多くの蔵書の寄贈をいただいた経緯を教えていただけますでしょうか。白地図の学生時代それは、可能性を蓄積していく時期

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