OKAMOTO, Takuya42が読めるようになるんですか ?」と聞かれることもよくありますが、決してそんなことはありません(笑)。でも、人の心が複雑だということは理解できるようになりますし、それを客観的に捉え、考える姿勢は身につきます。さらに社会心理学は、社会的?状況的要因と個人特性との相互作用を重要視するので、人の気持ちを理解しようとするときにも、その人の置かれている状況や社会、文化にも目を向けられるようになります。こうした考え方は、社会をより良くしようというモティベーションにもつながるとも考えています。── 先生から見て、社会心理学を学んでいる信大生はどのように映っていますか。 基本的には真面目な子が多いかな。特に心理学を学ぼうとしている人は、良くも悪くも自分への関心が高い印象があります。身近な人との関わりの中で自分の気持ちを持て余してしまったり、真面目な性格ゆえに不器用で自分の気持ちを上手に割り切れなかったり。でもだからこそ、自分だけじゃなくて、周りの環境や社会に視野を広げればもっと気持ちが楽になるんじゃないかと思いますし、みんなの持っている良さを活かせると思います。── 信州大学や社会心理学に興味のある学生へ一言お願いします。 旅に出てほしいです。どんな形でもいいので、自分の旅をしてみてほしいです。さっきの話にもつながりますが、人間は自分の世界だけでは成り立ちません。よく、社会にもっと関心を持ちなさいとかも言われますが、そうは言ってもそもそも関心が無いものは無くって、いくら言われても関心持てないですよね。でも、場所を変えるとそれだけで刺激が増えるから、自分以外のものへ勝手に意識が向いてしまう。こんな経験が人間というものについて改めて考えるきっかけにもなります。巡礼や歩く旅は特殊な旅の形態かも知れませんが、もっと気楽に旅に出る、環境を変えてみる、新しい世界へ入っていく、というのはすごく大切なことだと思います。── 信大のある松本も良いところですよね。 そうですね。松本はいわゆる地方都市で、若い人には少し退屈に思えるかもしれませんが、外から来る人に対して排他的ではないんですよね。いろんな人を受け入れ慣れてる。その気質が町の雰囲気にも表れていて、とてもいい場所だと感じています。そんな松本という地を拠点に、「自分と社会のつながり」について考えてもらえたら嬉しいですね。
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