保健学科案内2025-2026
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医療現場では、医師、看護師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士など、様々な職種のスタッフが関わりながら治療にあたっています。スタッフがスムーズに連携するには、それぞれの役割を理解し、互いの意思疎通に支障がないことが肝要です。スムーズな連携は、即患者さんのメリットにもなります。信州大学医学部では、学科や専攻の垣根を取り払ったチーム医療教育の充実を目指して、医学科?保健学科(看護学専攻、検査技術科学専攻、理学療法学専攻、作業療法学専攻)の合同授業として、1年次前期の「新入生ゼミナール」と、4年次後期の「チーム医療演習」という2つの授業を行っています。「新入生ゼミナール」では、1年前期の早い段階から、チーム医療の重要性や能動学習の意義と方法、そして、より良い保健?医療?福祉のあり方を学ぶことを目的として、医学科?保健学科合わせて約260名の学生が40グループに分かれ、各自が調べた資料を題材にグループワークで討論し、それをプレゼンテーションツールにまとめて発表を行うという授業を行っています。また、4年次後期の「チーム医療演習」では、より専門的な視点からチーム医療の重要性と各職種の役割、チーム医療における問題解決過程の進め方とその要点についての実践的な理解を深めることを目的として、医学科?保健学科合わせて約260名の学生が30グループに分かれ、リアリティーのある模擬患者の医学的、心理社会的な問題に対して、各職種の専門性を紡ぎ合いながら、問題解決の方向性について討論を行い、それをプレゼンテーションツールやロールプレイを用いて発表するとともに、学生同士で質疑応答を行うという授業を行っています。これらの授業の目的は「自ら学び、多角的な視点で考える」姿勢を得ること、「チーム医療の意義」を理解することです。これらの姿勢や意識を身につけることは、今後の医学部で学ぶための、あるいは医療現場で働く際の大切な基盤となると考えています。信州大学医学部保健学科には、看護学専攻、検査技術科学専攻、理学療法学専攻、作業療法学専攻の4つの専攻があります。各専攻の学生は、それぞれ看護師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士を目指して学んでいます。また、学部卒業後に大学院へ進学し、専門領域の学びをさらに深める学生も増加しています。現在、保健医療を取り巻く社会は、人口動態の変化や地球環境の変動などにより不確実性が高まる一方で、AIをはじめとする技術革新によって変化のスピードが加速しています。社会が変化し、価値観が多様化する時代においても、普遍的に大切なことは、保健医療が対象とする「すべての生命」であり、“Every single life matters”と言えるでしょう。私たちの保健医療は、その尊い“Every single life”を対象とし、乳児から高齢者まで、都市部でも地方でも、病める方も心身に障害のある方も、多様な人々すべてに対して、「その人にとって最適な健康状態」を守り、高めることを使命としています。私は、この保健学科において、一人ひとりに最適な健康支援を目指す“Inclusive health care”を探究したいと考えています。さて、人の健康が健全な地球環境に支えられていることは、自然の摂理と言えるでしょう。気候変動や環境汚染、生物多様性の喪失などの地球環境の変化は、人の健康にも大きな影響を及ぼします。個別に最適な健康支援は、地球全体にとっても最適であるべきであり、“Planetary health”が個々の健康を約束するはずです。では、これからの保健医療を担う私たちは、どのようにあるべきでしょうか。どのような人材を目指すべきでしょうか。詳しくは「アドミッション?ポリシー」、「ディプロマ?ポリシー」、「カリキュラム?ポリシー」をご覧ください。私は、もし一言で説明するならば、「自分自身または自分の最も大切な人をみて(看て、診て)もらいたい」と思える存在であると考えます。そのような次世代の保健医療人を、一緒に目指そうではありませんか。チーム医療教育の充実を目指した医学科?保健学科の合同授業医療の現場には垣根がない!チーム医療の基盤をつくる!学科長挨拶信州大学医学部保健学科長伊澤 淳保健学科の特徴-1-

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