ol.12V08新開発のシザーズ構造伸縮パネル(構造模型)。構造材自体が補強材にもなる。現在は、このパネルユニットの基本的性能やシミュレーションとの整合性を実証するために、展開角45度のときに長さ1m程度となる小型模型を試作している。地域の防災力を向上させたい自治体などにも活用いただける特許。【特許情報】本技術に関する知的財産権発明の名称:シザーズ構造の パネルユニット、伸縮パネルおよび パネル型シザーズ橋特許番号:特願2022-038977出願人:信州大学発明者:近広 雄希信州大学と大学が持つ特許を管轄する信州TLOとのコラボで制作した、特許技術「見える化」映像シリーズ第12弾の紹介映像もご覧ください。「シザーズ構造」はマジックハンドのように、運搬時はコンパクトに折り畳むことができ、設置場所では必要な距離に伸ばせるメリットがあり緊急仮設橋として重宝されます。ただ、従来の構造体のみでは荷重やスパンが制限され、適用範囲を広げるには補強材を設置する必要がありました。また補強材自体は伸縮しないので、補強材設置後は展開動作ができなくなるため、施工性の自由度という点では課題が残っていました。(図1)この課題を解消するために、信州大学学術188bet体育_188bet备用网址院(工学系)近広雄希 助教が新たに開発したのが、「シザーズ構造の伸縮パネル」です。構造体と補強材が一体となった新発想のパネルユニットの開発は、施工性を高め、より現場の状況にあわせた「折り畳み橋」が完成します。この新しいパネルユニットは、長さの異なる3種類の基本部材から構成されており、全ての部材がシザーズ構造をでできているため、全体を折り畳んで長さ調整できます。パネルユニットを連結して全体を長くしたい場合は、例えば大きなシザーズ構造の部材端部を少し延長させた部材を用意し、ユニット間を接続すれば可能となります。従来を実証するために、展開角45度のときに長さ1m程度の小型模型を試作しています。緊急仮設橋として施工性だけでなく運搬の構造体では弱点となっていた大きなシザーズ構造の交差部分に生じる力を、補強材として上下?左右に取り付けた小さなシザーズ構造へと分散することができます。これによって、従来の構造と比べた場合、約2倍以上の強度を実現できたとするシミュレーション結果を得ました。現在は、このパネルユニットの基本的性能やシミュレーションとの整合性性も重要となるため、軽量なアルミニウム合金材を部材に使っています。新開発の「シザーズ構造の伸縮パネル」は、被災した橋や道路の代替路としてだけでなく、建設現場の仮設資材(足場やタラップ)、機械分野の昇降機器、さらには宇宙分野で展開する構造物などにも、その技術を活用できる可能性がある(近広助教)」とのこと。コンパクトな運搬が可能で、現場に合わせた施工性の良さという特性から、中規模の作業現場に適している「当面の開発目標として、緊急車両が通行できる20メートル規模の折り畳み橋の実現を目指している(近広助教)」とのコメントのとおり、小中規模の緊急仮設橋に需要がありそうです。アルミ、FRP、木材などの軽量材料の加工技術を持つ機材メーカーや、防災分野への新規展開を考えている企業、また、災害時に活動する救助隊?消防隊や地域の防災力を向上させたい自治体などに活用いただける特許だと思います。構造体と補強材が一体となる新発想で従来の課題を解決災害時だけでなく、建設や機械、宇宙分野まで幅広い用途が…を開発
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