信大NOW150号
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ロングインタビューバージョンはWebでご覧いただけます。ホットマンのタオル製造工場。坂本さんは社長になった現在でも、現場でのものづくりが大好きだというインタビュアーの藤島氏は、ホットマンのマイハンドタオルを持参。その使い心地の良さを坂本社長に伝えた坂本さんの人柄と、ものづくりに関する深い話に、信州大学インタビュアーは感動しきり行きがちなんですね。 私たちも、もちろんそのようなことは大切にしていますが、やっぱり結局は「使う人にとってどうなのか」っていうところが重要だと思うんです。この点について、私の場合は敢えて改めて考えなくても、すでに当たり前に意識している部分があって、それは感性工学を学んだことが大きいと思います。 また、感性工学は「良いものを良いと判断できる力」を養う学問であるとも言えると思うんですが、そのような力はものづくりにとって重要ですので、感性工学を学んでいて良かったなと思っています。藤島:今、会社のお話をいただきましたが、坂本さんが就職の時にどういった選択をして今のホットマンに行き着いたのでしょうか。坂本:私が就職活動をしたのは、ちょうど大不況の頃でした。指導教授に何がやりたいんだと問われた時に、ものづくりと販売に興味があったので、その両方をやってたら何か面白いことできるんじゃないかという話をしました。最初は「そんなところあるはずないだろ」と一刀両断されましたが、しばらく考えて「…1社だけあるぞ」と。「どこですか?」と聞き、紹介してもらったのがホットマンでした。めて行ってみたんですが、タオルがとても豊かで快適な生活とは何か…人の五感+時代の変化に合うこと藤島:今回、私もホットマンの売り場に改美しく置いてあることが印象に残りました。坂本:とにかく美しく見せることは、会社を挙げて意識して行っています。日用品でありながら、生活が豊かになるようなものを、提案したいと考えているからです。そしてそれは「お客様の快適で心豊かな生活に貢献する」という私たちの経営理念に基づいています。ただ、快適さや、心の豊かさというのは、ある意味ふんわりした言葉であって、一度定義したらずっと変わらないものではありませんよね。時代に合わせて変わっていきます。ですから、経営理念は変わりませんが、その中身は常に見直すように心掛けています。藤島:それは重要なことですよね。坂本:そうしないと競争に勝てないというか。私たちのタオルは一般的なものではないんですよね。東京で作る以上、価格では標化できるかを188bet体育_188bet备用网址しています。皮膚や髪の毛の表面に付着する水分の「吸い上げやすさ」が優れていればいるほど、人は拭い心地が良いと感じられます。人の感性に関わる部分ですね。しかし、こちらについてはまだ試験方法がありません。ですからその方法を確立したいと考えています。藤島:いつか共同188bet体育_188bet备用网址の成果として“究極のタオル”みたいなものが開発される可能性もあるのでしょうか。坂本:ぜひ、やりたいですね。海外や国内の他メーカーには到底勝てないので、やっぱりニッチなところを目指しています。その中で、会社の理念である「快適で心豊か」って何だろうと考えたときに、感性工学とも関わってきますが、人の五感に訴えることと、時代の変化に合うことではないかと思っています。藤島:信州大学繊維学部 先進繊維?感性工学科の上條正義 教授との共同188bet体育_188bet备用网址にも取り組んでいますよね。坂本:吸水性の高さをどう指藤島:ホットマンのものづくりについて、「本物づくりに徹し、創造を重ねる」というフレーズを目にしたことがあります。坂本社長が考える本物とはなんでしょう?坂本:「誠実さ」だと考えています。ブランドって信頼が根底にあると思っているので、売れることを第一に考えるのではなく、やっぱりお客様のためを思って誠実に作り続けたものが本物なのだろうなと。藤島:ホットマンが目指す方向も今お話しいただいたようなことなのでしょうか。坂本:そうですね。私が代表を務めている間は変わることはないと思います。藤島:最後に、これから繊維学部の感性工学を目指してみたいという若い人たちへのメッセージをお願いできますか。坂本:「自分の感性を大切にして、それを磨いてください」と、心から思いますね。それぞれが違っていて、それぞれが本当に自分にしかない感性を持っている。それはすごく素敵なことであり、その感性を磨いていくことが一番重要なのかなって思います。感性工学科では、そのような感性を指標化なり、形にしていくことにつなげようとするわけですが、それってすごく面白いことだよっていうことは伝えたいですね。本物は嘘をつかない…ブランドは信頼。常に誠実であれ。培った志を胸に、社会で活躍する素敵な大人たち10chapter.11信大同窓生の流儀

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