信州大学山岳科学188bet体育_188bet备用网址拠点 吉田孝紀教授を含む188bet体育_188bet备用网址グループが諏訪湖の古水位変動と気候変動の関連について論文発表がありました。
この論文については第一著者の所属先である長野県環境保全188bet体育_188bet备用网址所と山岳科学188bet体育_188bet备用网址拠点で共同プレスリリースされました。
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諏訪湖における過去1万6000年間の水位変動を解明復元
―諏訪湖の水位,世界的な気候変動に応答した可能性―
【ポイント】
? 最終氷期末(約1万6000年前)以降の諏訪湖の水位変動を解明しました。
? 諏訪湖で掘削された堆積物コアを調べたところ,諏訪湖の水位は数百~数千年ごとに上昇?低下を繰り返していたことが明らかになりました。
? 約1万2000年前と8000~7000年前には大きな水位低下が生じました。この時期は世界的な寒冷期にあたり,東アジアで乾燥化がすすんだタイミングと概ね一致しています。そのため,これらの水位低下は降水量の減少に起因すると考えられます。
? 本188bet体育_188bet备用网址は,中部日本における内陸湖の水位変動が,世界的な百~千年スケールの気候変動に応答した可能性を示します。
【概要】
長野県環境保全188bet体育_188bet备用网址所,信州大学山岳科学188bet体育_188bet备用网址拠点の188bet体育_188bet备用网址グループは,諏訪湖で掘削された堆積物コアを用いて,諏訪湖の過去1万6000年間の水位変動を解明し,気候変動との関連を明らかにしました。この成果は,2024年4月12日付けで学術誌Geomorphologyに掲載されました。
【背景と目的】
第四紀更新世末期の最終氷期から完新世には,短周期(数百~千年周期)で気温の上昇と下降が生じていたとされます。
この短周期の気候変動による陸域環境への影響については,これまで,東アジア沿岸域やユーラシア大陸の内陸部で多く報告されてきましたが,日本列島の内陸部の報告例はほとんどありませんでした。そこで本188bet体育_188bet备用网址では,中部日本の内陸盆地である諏訪盆地を対象に,最終氷期末以降の湖の水位変動を復元しました。これにより,短周期の気候変動による湖環境への影響の解明を目指しました。
【188bet体育_188bet备用网址の内容】
方法:諏訪湖の湖岸において2本の堆積物コア(ST2020コア,SK2021コア)(注1)を掘削し(図1),放射性炭素年代測定による堆積速度曲線の作成,粒度?構成物質?古土壌(注2)の記載による堆積環境の推定を行いました。また,100~200年間隔で泥質堆積物試料を採取し,化学分析を行い,SiO2の含有量から珪藻量の変動を追跡しました。
成果:両コアにおいて,更新世の最終氷期末(約1万6000年前)~完新世中期(約6000年前)に相当する層準には,泥質堆積物が連続的に堆積しており,湖環境が広がっていたことが明らかになりました。この泥質堆積物の化学分析によると,数百~数千年間隔でSiO2量の低下が認められ(図3A),珪質な殻をもつ珪藻が頻繁に減少していたことが示されました。珪藻の減少する層準には,古土壌の痕跡(根化石など)が認められ(図2,図3Aの赤矢印),コアの掘削地点が地表に露出し,長期間空気に曝されていたことがわかりました。これらの結果から,諏訪湖の水位の一時的な低下により干上がったコアの掘削地点では古土壌が形成され,珪藻の堆積が停止したと考えられました。水位の低下は,両コアで共通して4回(約1万2000年前,約8000年前,約7900年前,約7000年前)認められました(図3の黄色の背景部分)。約1万2000年前と約7000~8000年前は,世界的に寒冷だった時期(ヤンガードリアス期(注3),約8200年前の寒冷化イベント)に概ね一致します。これらの時代は,東アジアにおいては,夏季モンスーンが弱まった乾燥期であったとされます(図3Cの薄緑色の領域)。以上のことから,東アジアの乾燥化により,諏訪湖周辺では降水量(流入量)が減少し,湖の水位が低下したと考えられます。この結果は,世界的な百~千年スケールの気候変動に駆動された東アジアの気候変動が,中部日本の内陸湖の水位に影響を及ぼした可能性を示します。
図3 諏訪湖の堆積物コアの化学組成?古土壌の形成年代(A)と水月湖の堆積物コアに含まれる花粉化石から測られた年平均気温(B,Nakagawa et al., 2005)と中国南部ドンゲ洞窟における石筍の酸素同位体比が示す東アジア?夏季モンスーンの変動(C,Dykoski et al., 2005)との比較。
【188bet体育_188bet备用网址の意義】
本188bet体育_188bet备用网址の成果は,現在~将来の気候変動により,日本列島の内陸湖の環境がどのように応答するのか,百~千年スケールで予測していく上で重要な知見になると考えられます。
【用語解説】
注1)堆積物コア:地層から抜き取られた円筒状の堆積物試料。
注2)古土壌:地質時代にできた過去の土壌。根化石や現地性の植物化石の存在などから認識できる。
注3)ヤンガードリアス期:第四紀更新世末(約1万2900~1万1550年前)にあった世界的な寒冷期。
【論文の情報】
題目:Lake-level responses to climate change in an inland basin in the Japanese Islands during the last 16 kyr
著者:葉田野 希(長野県環境保全188bet体育_188bet备用网址所自然環境部),川野律歩(信州大学大学院総合理工学系188bet体育_188bet备用网址科理科学分野?地球学ユニット),吉田孝紀(信州大学学術188bet体育_188bet备用网址院(理学系))
掲載誌:Geomorphology
DOI: https://doi.org/10.1016/j.geomorph.2024.109194
本188bet体育_188bet备用网址の一部は,(公財)アサヒグループ財団,(公財)河川財団,(公財)住友財団,JSPS科研費(20K04104,18KK0096)の助成を受けて実施しました。
【問い合わせ先】
●188bet体育_188bet备用网址に関すること:長野県環境保全188bet体育_188bet备用网址所自然環境部 技師 葉田野 希
TEL:026-239-1031 E-mail:hatano-nozomi-r@pref.nagano.lg.jp
●広報担当:長野県環境保全188bet体育_188bet备用网址所 自然環境部
TEL:026-239-1031 E-mail:kanken-shizen@pref.nagano.lg.jp
国立大学法人信州大学 総務部総務課広報室
TEL:0263-37-3056 E-mail:shinhp@shinshu-u.ac.jp
―諏訪湖の水位,世界的な気候変動に応答した可能性―
【ポイント】
? 最終氷期末(約1万6000年前)以降の諏訪湖の水位変動を解明しました。
? 諏訪湖で掘削された堆積物コアを調べたところ,諏訪湖の水位は数百~数千年ごとに上昇?低下を繰り返していたことが明らかになりました。
? 約1万2000年前と8000~7000年前には大きな水位低下が生じました。この時期は世界的な寒冷期にあたり,東アジアで乾燥化がすすんだタイミングと概ね一致しています。そのため,これらの水位低下は降水量の減少に起因すると考えられます。
? 本188bet体育_188bet备用网址は,中部日本における内陸湖の水位変動が,世界的な百~千年スケールの気候変動に応答した可能性を示します。
【概要】
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【背景と目的】
第四紀更新世末期の最終氷期から完新世には,短周期(数百~千年周期)で気温の上昇と下降が生じていたとされます。
この短周期の気候変動による陸域環境への影響については,これまで,東アジア沿岸域やユーラシア大陸の内陸部で多く報告されてきましたが,日本列島の内陸部の報告例はほとんどありませんでした。そこで本188bet体育_188bet备用网址では,中部日本の内陸盆地である諏訪盆地を対象に,最終氷期末以降の湖の水位変動を復元しました。これにより,短周期の気候変動による湖環境への影響の解明を目指しました。
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成果:両コアにおいて,更新世の最終氷期末(約1万6000年前)~完新世中期(約6000年前)に相当する層準には,泥質堆積物が連続的に堆積しており,湖環境が広がっていたことが明らかになりました。この泥質堆積物の化学分析によると,数百~数千年間隔でSiO2量の低下が認められ(図3A),珪質な殻をもつ珪藻が頻繁に減少していたことが示されました。珪藻の減少する層準には,古土壌の痕跡(根化石など)が認められ(図2,図3Aの赤矢印),コアの掘削地点が地表に露出し,長期間空気に曝されていたことがわかりました。これらの結果から,諏訪湖の水位の一時的な低下により干上がったコアの掘削地点では古土壌が形成され,珪藻の堆積が停止したと考えられました。水位の低下は,両コアで共通して4回(約1万2000年前,約8000年前,約7900年前,約7000年前)認められました(図3の黄色の背景部分)。約1万2000年前と約7000~8000年前は,世界的に寒冷だった時期(ヤンガードリアス期(注3),約8200年前の寒冷化イベント)に概ね一致します。これらの時代は,東アジアにおいては,夏季モンスーンが弱まった乾燥期であったとされます(図3Cの薄緑色の領域)。以上のことから,東アジアの乾燥化により,諏訪湖周辺では降水量(流入量)が減少し,湖の水位が低下したと考えられます。この結果は,世界的な百~千年スケールの気候変動に駆動された東アジアの気候変動が,中部日本の内陸湖の水位に影響を及ぼした可能性を示します。
図3 諏訪湖の堆積物コアの化学組成?古土壌の形成年代(A)と水月湖の堆積物コアに含まれる花粉化石から測られた年平均気温(B,Nakagawa et al., 2005)と中国南部ドンゲ洞窟における石筍の酸素同位体比が示す東アジア?夏季モンスーンの変動(C,Dykoski et al., 2005)との比較。
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【用語解説】
注1)堆積物コア:地層から抜き取られた円筒状の堆積物試料。
注2)古土壌:地質時代にできた過去の土壌。根化石や現地性の植物化石の存在などから認識できる。
注3)ヤンガードリアス期:第四紀更新世末(約1万2900~1万1550年前)にあった世界的な寒冷期。
【論文の情報】
題目:Lake-level responses to climate change in an inland basin in the Japanese Islands during the last 16 kyr
著者:葉田野 希(長野県環境保全188bet体育_188bet备用网址所自然環境部),川野律歩(信州大学大学院総合理工学系188bet体育_188bet备用网址科理科学分野?地球学ユニット),吉田孝紀(信州大学学術188bet体育_188bet备用网址院(理学系))
掲載誌:Geomorphology
DOI: https://doi.org/10.1016/j.geomorph.2024.109194
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【問い合わせ先】
●188bet体育_188bet备用网址に関すること:長野県環境保全188bet体育_188bet备用网址所自然環境部 技師 葉田野 希
TEL:026-239-1031 E-mail:hatano-nozomi-r@pref.nagano.lg.jp
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TEL:026-239-1031 E-mail:kanken-shizen@pref.nagano.lg.jp
国立大学法人信州大学 総務部総務課広報室
TEL:0263-37-3056 E-mail:shinhp@shinshu-u.ac.jp