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授業の紹介
2022/07/04
6月3日(金)「地域活性化システム論」
本記事では、6月3日に行われた第8?9回「地域活性化システム論」授業の模様をお伝えします。
テーマは「リサイクル率日本一の大崎町からごみについて考えてみよう」と「仕組みで未来を考える」です。
今回のゲスト講師は、はるばる鹿児島県大崎町よりお越し頂いた、西塔大海先生と中垣るる先生です。
お二人は合作株式会社の取締役、広報?PRとして、「一般社団法人大崎町SDGs推進協議会」をはじめとする様々な事業に関わっておられます。
<写真:受講生からの質問に答える中垣るる先生(左)と西塔大海先生(右)>
総務省による統計ダッシュボード(出典:https://dashboard.e-stat.go.jp/)によると、日本全体の年間リサイクル率は約20%にとどまります。
その一方で大崎町では町で出るゴミの80%以上をリサイクルしています。12年連続でリサイクル率日本一に輝いていることは驚きですね。
この80%超えのリサイクル率は、実に27品目にも及ぶゴミ分別のルールに支えられているそうです。
大崎町のルールは、事前課題として調べてきた地元自治体のゴミ分別ルールのどれよりも細かく、驚いた受講生からはどよめきが上がりました。
<写真:大崎町のゴミ分別表 出典:大崎町ホームページ
https://www.town.kagoshima-osaki.lg.jp/jk_kankyoutaisaku/kurashi/gomi/bunbetsu/rule.html>
導入のきっかけは、埋め立て地の限界が近づき、焼却場の建設もできないことでした。
それを解決するために徹底したリサイクルが提案されましたが、当初は複雑さに抵抗感を持つ方もいらっしゃったそうです。そこで大崎町は、450回を超える説明会をおこない、住民の理解と協力を得るに至りました。
大崎町のルールに従って、実際にゴミの分別に取り組むワークもおこないました。
「メガネやテニスボールなど、複数の素材でできた物をどのように分別するのか」という学生からの質問には、講師のお二人も頭を悩ませる一幕がありました。
<写真:中垣先生「メガネは肌に触れる部分があるので、大崎では洗ってから分別します!」>
私たちの身の回りには、分別の前に分解や洗浄が必要になってしまう製品が溢れています。
中垣先生が仰った「簡単に分別ができる製品を、企業がつくっていく必要がある」という言葉は、まさにSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」を実行するお考えでした。
企業と消費者が一体となってリサイクルに取り組む必要があることに気付かされ、ハッとした受講生も多かったのではないでしょうか。
続いて、「制度設計」という仕事について「地域おこし協力隊」の活動を例に、西塔大海先生よりお話しいただきました。
「地域おこし協力隊」とは、「都市から移住して、3年間、地域おこしの仕事をする人」たちのことで、彼らの仕事に定型?定番はなく、地域の情報発信や移住者交流の手助けをする人もいれば、獣害対策をおこなう人もいるとご説明いただきました。
<写真:テーマについて語る西塔先生>
しかし、地域おこし協力隊のリアルな現場では、その豊富な地域貢献のあり方がゆえに、いくつかのミスマッチがうまれています。
西塔先生は、19歳でタイを訪れてバックパッカーを経験したり、その後の大学入学や留学で得た様々な縁をきっかけに、東日本大震災の被災地に赴いて復興に関わったりするなどのアクティブなキャリアと、実際に地域おこし協力隊で得られたご経験を活かして、問題解決を考えられました。
協力隊の参加者と、受け入れる立場の行政の間にあった深い溝を解決するために、「そもそも何が問題なのだろう?」「これを変えたらどうなる?」「新しくあれをやってみよう!」と、問いや仮説を立て、実験?考察を繰り返すPDCAサイクルを膨大に回してきたそうです。
その結果、「行政の募集?採用プロセス指導」や「『地域プロジェクトマネージャー』の任用開始」など、仕組み作りによって制度の改善が行われました。
西塔先生は、これらのご経験を踏まえ「仕組みで未来をつくる仕事は行政だけがやっているわけじゃない。これからは意外に、地域の現場にいる僕らにも機会は回ってくる」と仰った上で、「Luck is a matter of preparation meeting opportunity.」という言葉を紹介してくださいました。
以前、大島先生が仰っていた「チャンスの女神に後ろ髪はない」と合わせて、受講生にとって大きなヒントとなる言葉だと感じました。
大崎町のゴミ問題を解決したのも、「リサイクルを町全体で推し進める」という仕組みでした。
これからの変化に富んだ社会では、皆さんが新しい仕組みをつくっていく立場となります。
チャンスを逃さない準備の仕方を、どんどん学んでいきましょう!
文責:信州大学人文学部文化情報論分野2年?ローカルイノベーター養成コース5期生
伊藤詩奈