信大の地域貢献サークル&学生グループ特集Vol.2 37年の歴史を持つ農業ボランティアサークル 信州大学りんご部隊地域コミュニケーション

「大学の地域貢献度ランキング」では毎回上位にランクされる信州大学。長野県内に5キャンパスという、タコ足大学の伝統を誇りとする本学はもちろん学生も頑張っていて、各キャンパスを飛び出して活動する、地域貢献を目的としたサークルが多いのも大きな特徴。リンゴあり、軍手あり、山林伐採あり…信州ならではの地域貢献が盛りだくさん!「信大の地域貢献サークル特集」信大NOW誌面で一挙公開です。

????? 信州大学広報誌「信大NOW」第149号(2025.1.31発行)より

200人でりんご農家をお手伝い!農家も学生の力が頼り

リンゴは収穫までに、多くの時間と人の手がかけられ育ちます。全国2位のリンゴ産地である長野県で、そのリンゴ作りを支えるサークルが信州大学の「りんご部隊」です。“隊員”は約200名と大所帯。毎週末に安曇野市のリンゴ農家約10人をお手伝いしています。りんご部隊の活動ややりがいについて、隊長の清水康史さんにお話を伺いました。

「活動は毎年春に始まり、秋に収穫を迎えます」と清水さんは一年の流れについて説明します。4月、木の栄養や雑草予防になる「藁敷き」を行い、5月頃から、たくさん成った実を間引く「摘果(摘花)作業」を行います。そして8月には夏品種の収穫が始まるため、今年は夏休みも活動が続きました。その後、リンゴを赤く色付けするために行う「葉摘み」作業を行ったのち、10頃からいよいよ待ちに待った秋?冬品種の収穫が始まります。花がつく前から通った畑で、真っ赤に育ったリンゴを収穫するのはとても感慨深い作業です。取材中、清水さんは畑で食べたリンゴの美味しさを語ってくれました。活動の原点には、美味しい信州のリンゴ栽培を手伝いたい、広めたいという学生の純粋な想いがあるようです。

年間のお手伝い人数は、単純計算で延べ200人にもなります。県内でも有数の産地である安曇野市の農家は若い力を頼りにしているとともに、「一人でも多くの学生にりんごや農業のことを知ってもらい、関心を持ってもらえたらという想いもあるようです」と清水さんは教えてくれました。

りんご部隊の活動は、農ある暮らしがより求められるようになった今でこそ自然なことに思えますが、発足は1988年と37年も前でした。ここまで継続できた理由のひとつに、農家と学生との大きな信頼関係があるようです。隊長の清水さんは、作業を実施する週の早くて1ヶ月前~1週間前にかけて農家と連絡をとり、参加する学生の募集?調整を行い、毎週の活動がスムーズに進むよう努めてきました。各隊員も“作業させてもらっている”という感謝の気持ちを忘れず、真摯に作業を行っているといいます。

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作業の様子。作業の他にも、りんごオーナーさんの案内など広範囲にお手伝いを行う。隊員たちはりんごネーム(ニックネーム)で呼び合うのが伝統。

信州リンゴを広めるため収穫したリンゴは京都まで

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京都大学での学祭の様子。一年かけて育ったリンゴの販売は喜びもひとしお!もちろん銀嶺祭にも出店します。

りんご部隊の活動は作業だけではありません。例えば、農家を招いての勉強会も開催しています。実情を聞いたり、リンゴの見分け方や食べ方について教えてもらう勉強会です。秋にはリンゴの食べ比べをし、今年は13品種のリンゴが農家から提供されました。

そして一年を締めくくる毎年恒例の大イベントが、京都大学学祭でのリンゴ販売。学生はお手伝いの報酬として一人につきコンテナ1個分のリンゴをいただきますが、そのリンゴを京都へ運び、今年は約4,000個を販売しました。事前の予約注文も多く、学祭のコンテンツとしてのファンが多くいるそうです。

37年の歴史をつなぎ活動してきたりんご部隊ですが、毎週の活動を継続していくことは簡単なことではありません。筆者も大学時代に農業サークルに所属していましたが、成長する農産物の栽培管理と学生生活の両立はとても難しかったことを覚えています。一方で、畑や農家さんから学ぶことは本当に多く、人生に大きな影響を与えてくれました。清水さんも「自然と共にある農業の大変さなどを体感し、作り手を意識するようになった」と振り返ります。そして「畑まで足を運ぶのは大変だと思うけど、来てみたら絶対楽しい。まずは一度体験してみて」と後輩へメッセージを送りました。(文?平川萌々子)

りんご部隊 隊長 清水康史さん

(人文学部人文学科心理学分野3年)

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品種の違いや栽培についてとても詳しく話してくれた清水さん。隊長として、農家への挨拶回りから始まり、毎週の連絡、各イベントの企画運営等に携わる。これまで運営主体は2年生だったが、コロナで1年空いてしまったため、現在は3年生が運営している。りんごネームは「あいちゃん」

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