腫瘍切除後の再建
信州大学医学部附属病院は都道府県がん診療連携拠点病院でもあり、長野県全域あるいは近隣県から、がん患者さんが訪れます。耳鼻咽喉科、口腔外科、外科、整形外科、脳外科、婦人科、皮膚科などで腫瘍切除が行われますが、がんとともに切除される組織が大きくなると、術後の生活に支障が出ることがあります。例えば舌がんでは舌を半分以上切除されると、食事に不自由が生じたり、うまく話せなくなったりしてしまいます。
そこで形成外科が組織の再建を担当します。
腕、背中、太もも、おなかなどから組織移植を行い、欠損部を再建します。このとき用いられる特別な手技としてマイクロサージャリーがあります。これは一度切り離した血管、神経を、体のほかの場所の血管、神経と縫合することで、組織を移植する技術です。例えば舌の再建では太ももなどの皮膚や皮下脂肪などを血管と一緒に採取して、舌の形に整え、頸部の血管に吻合します。血管の剥離、吻合などに高い技術を要する手術です。
患者さんに負担が少なく、しかも元の組織に近い状態にする再建が目標です。手術の際にはがんの執刀医と綿密な連絡をとり、治療を行っています。