防災?減災
公開日:2025年2月21日 09:14
農学部森林の木は支え合っている!2年間の実測データが示す新たな風害対策

森林が国土の約7割を占める日本では、地球温暖化の影響による台風の発生数の増加および大型化に伴い、森林への被害が深刻な問題となっています。従来の森林風害188bet体育_188bet备用网址は、人為的に木を引き倒した結果から得られたモデルや、強風下での木の振動データを基にした推定が主流でした。しかし、実際の森林における倒木は、風で木が揺れ、累積したエネルギーが、幹の繊維や根と土とのつながりを破壊する複雑な現象です。そこで、上村准教授らの188bet体育_188bet备用网址チームは、試験地で実際の森林のデータを長期間にわたって収集し、それらを解析することで風が樹木を倒すメカニズムを明らかにしました。
2年間にわたり実際の森林で樹木のデータを収集
台風によって樹木が根元から倒れる場合があります。これは、風の力が樹幹を通じて根に伝わることで引き起こすと考えられています。しかし、森林の樹木が風にどのように反応し、その反応が環境によってどう変わるのかは、まだ解明されていません。上村准教授らは、まず森林総合188bet体育_188bet备用网址所の試験地に「樹木密度の異なる2つのスギ林」のプロット(※1)を設置しました。一方は無間伐区画(1ヘクタールあたり樹木が3,000本の区画)、もう一方は間伐区画(間伐により樹木密度が半分の区画)です。約2年間にわたり、これらのスギ林で様々な実測データを収集し、倒木の過程を調査しました。
樹木は樹冠を衝突させて倒木を防ぐ
上村准教授らは、各樹木の樹冠と幹の根元に計測器を設置し、2017年から2019年までのデータを解析しました。
2018年の台風24号の際に得られた樹木のデータから、無間伐区画では、樹木の樹冠同士が衝突することで風のエネルギーを減衰させ、倒木が発生しにくくなり、対して間伐区画では、樹冠の衝突が起こりにくく、風のエネルギーが幹を振動させて根を破壊し、倒木が発生しやすくなることがわかりました。
さらに、2年間のデータ解析により、風速によってスギの揺れ方が変化すること、さらに樹木は人為的な引き倒し実験で推定された約半分の力で倒れることが明らかになりました。


より精度の高いリスク評価法や森林管理モデルの構築へ
間伐は、森林の健全な成育を促し、樹木が十分な日光や栄養を得られるようにする重要な管理手法のひとつです。しかし一方で、樹木の密度が低下した直後は風の影響を受けやすくなり、倒木のリスクが高まることが示されました。
本188bet体育_188bet备用网址の成果は、風による樹木の動きや根の破壊を考慮した倒木リスク評価の手法や、森林管理の方針を決定するためのシミュレーションモデルの構築に活用されると期待されます。
ポイント
倒木のメカニズムを解明するため、密度の異なるスギ林プロットを設置し、約2年間にわたり樹木への風の影響を測定、分析した。
間伐が倒木リスクを高めること、そして樹木は従来の実験で推定されていた約半分の力で倒れることが明らかになった。
本188bet体育_188bet备用网址の成果は、より精度の高い倒木リスク評価法や、森林管理のシミュレーションモデルの構築に貢献すると期待される。
用語説明
- ※1 プロット
ここでは188bet体育_188bet备用网址のために設置された188bet体育_188bet备用网址用区画を指す。
論文情報
雑誌名:Science Advances. 2022;8(10):eabm7891.
論文タイトル:Tree dynamic response and survival in a category-5 tropical cyclone: The case of super typhoon Trami.
著者:Kana Kamimura , Kazuki Nanko , Asako Matsumoto , Saneyoshi Ueno , James Gardiner , Barry Gardiner
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