マテリアル?ナノテク?リサイクル
公開日:2025年2月17日 13:34
教育学部スマホにも使われている!凝集誘起発光体の"振る舞い"を世界で初めて実測!

水が冷えると氷になり、温めると水蒸気になるように、物質の状態は変化します。これは相転移と呼ばれ、伊藤教授らのチームは、この相転移の仕組みを分子レベルで解明しようとしています。今回の188bet体育_188bet备用网址では、溶液中ではほぼ光らず、固体中で強く光る凝集誘起発光体(※1)を用い、その分子の振る舞いを超高速で観測することに世界で初めて成功しました。その結果、凝集誘起発光体は発光する際に特定の分子構造を持つことがわかりました。凝集誘起発光体はスマートフォンなどのディスプレイに使われる有機EL素子などにも活用されており、今回の成果は新しい発光制御技術や材料の開発に貢献すると期待されます。
蛍光分子(※2)を用いて固体(結晶)化過程を可視化する
液体から固体(結晶)に変化して発光する凝集誘起発光体は、ディスプレイの有機EL素子、生体内の状態を可視化するバイオイメージング、太陽電池材料などにおいて実用化されています。凝集誘起発光体は、溶液中など分子がバラバラの状態ではほぼ発光せず、凝集した固体中などで強い発光を示します。これまで、凝集誘起発光体が光る仕組みは部分的にのみ明らかにされていました。今回の188bet体育_188bet备用网址では、凝集誘起発光体である蛍光分子を利用し、固体(結晶)化過程における分子の変化を明らかにする第1段階として「なぜ溶液中で光らないのか」を調べようと考えました。
なぜ水素をメチル基に置き換えただけで凝集誘起発光体になるのか?-実験と理論で検証-
注目したのは蛍光分子ジベンゾイルメタンフッ化ホウ素錯体“BF?DBM(※3)”です。その一つである2aBF?(※4)は、溶液中でも固体中でも光る一方、特定の水素をメチル基に置き換えた2amBF?(※5)は、固体状態でのみ光る凝集誘起発光体となることが知られていました。そこで、メチル基への置き換えがこの違いを生む理由を解析しました。溶液と固体での分子の振る舞いを、分光法(※6)を用いた実験により超高速観測し、一方で理論計算でも結果を予測しました。実験結果から、2amBF?は溶液の状態でのみ「分子の中心部分が屈曲した安定構造」をとることが示され、理論予測とも一致しました。

ディスプレイやバイオイメージング技術の更なる発展に!
これまで、凝集誘起発光体は「溶液中では分子が自由に動けるが、固体中ではその動きが制限され、余ったエネルギーを蛍光として放出する」と考えられてきましたが、これは理論計算でのみ示されていました。今回の188bet体育_188bet备用网址は、世界で初めて凝集誘起発光体の振る舞いを実験で観測し、その仕組みを理論計算と組み合わせて分光学的に証明しました。この188bet体育_188bet备用网址成果は、有機EL素子の色味調整や耐久性向上、バイオイメージングにおける発色強度制御、新たな機能性材料の設計などへの応用が期待されます。現在は、液体から固体になるときの分子の運動について解明する188bet体育_188bet备用网址が進められています。
ポイント
物質が液体から固体(結晶)に変化する過程で発光する物質を凝集誘起発光体と呼ぶ。凝集誘起発光体が発光する仕組みを実験で示すため、世界で初めて超高速観測を行った。
分光法による実験結果と理論計算の両面から凝集誘起発光体の振る舞いを解析し、溶液状態でのみ「分子の中心部分が屈曲した安定構造」を示すことが明らかとなった。
凝集誘起発光体の振る舞いを実験で示す初めての188bet体育_188bet备用网址となった。188bet体育_188bet备用网址成果は、有機EL素子やバイオイメージング、新たな材料の設計などへの貢献が期待される。
用語説明
- ※1 凝集誘起発光体(Aggregation-Induced Emission: AIE)
希薄な溶液状態では発光せず、固体や凝集状態で強発光する蛍光色素。2001年に初めて報告された。有機EL素子、バイオイメージング、光スイッチ、化学センサーなど多様な用途がある。
- ※2 蛍光分子
紫外線や可視光など、特定の波長の光を吸収すると光る分子。
- ※3 BF?DBM
ジベンゾイルメタンフッ化ホウ素錯体(dibenzoylmethanato boron difluoride complexes)。蛍光色変化を示す機能性分子。
- ※4 2aBF?
1,3-bis(4-methoxyphenyl)methanatoboron difluoride。BF?DBM誘導体の一つ。
- ※5 2amBF?
1,3-bis(4-methoxyphenyl)ethanatoboron difluoride。2aBF?の特定の水素をメチル基に置き換えた蛍光分子。
- ※6 分光法
物質が放射、あるいは吸収する光を波長ごとに分割し、その物質を構成する分子固有の波長(スペクトル)を調べる方法。物質の成分や特性を定量的、定性的に分析できる。
論文情報
雑誌名:Journal of the American Chemical Society. 2024;146(47):32529-32538.
論文タイトル:
Excited State Dynamics of Geometrical Evolution of α-Substituted Dibenzoylmethanatoboron Difluoride Complex with Aggregation-Induced Emission Property.
著者:
Yushi Fujimoto, Yoshifumi Mochiduki, Hikaru Sotome,Rintaro Shimada,, Hajime Okajima, Yasunori Toda, Akira Sakamoto, Hiroshi Miyasaka, Fuyuki Ito
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