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マテリアル?ナノテク?リサイクル

公開日:2025年2月12日 11:08

工学部PFAS問題の解決に貢献する 新しい吸着材料を開発

アクア?リジェネレーション機構 卓越教授 手嶋 勝弥

アクア?リジェネレーション機構 特任助教 Tipplook Mongkol

 アクア?リジェネレーション機構長の手嶋勝弥 教授、Tipplook Mongkol 特任助教らの188bet体育_188bet备用网址グループは、PFAS(有機フッ素化合物)(※1)に対して、これまでにない高い吸着性能を発揮する吸着材料を開発しました。これは手嶋教授らが新たに生成したカーボンナノ粒子「QACN(quaternary ammonium cation-doped carbon nanoparticle)」(※2)を使用したもので、従来の吸着材料より3倍高い吸着性能を持ちます。PFASは発がん性などで健康に悪影響を与えますが、生活用水などに含まれていることが社会問題化しており、その除去の必要性が高まっています。今回の新たな吸着材料が実用化され、家庭用浄水器などに採用されれば、世界的にPFAS問題の解決に大きく貢献しそうです。

発がん性などの健康被害 社会問題化しているPFAS

 近年、PFASが水道水などから検出され、社会問題化しています。PFASは産業や製品(防火剤、塗料、半導体など)で広く使われる化合物で、代表的なものにPFOSやPFOAがあります。人体に蓄積し、長期間にわたって健康に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。具体的には、発がん性やホルモン異常、免疫機能への影響などのリスクが指摘されています。
 そのため、既に汚染されている地域の水については、除去する必要がありますが、従来の炭素素材やイオン交換樹脂などによる方法ではすべての課題を解決できないというのが実情です。

これまでにない高い吸着性能 従来の3倍

 こうしたなかで、アクア?リジェネレーション機構長の手嶋勝弥 教授、Tipplook Mongkol 特任助教らの188bet体育_188bet备用网址グループは、PFASに対して、これまでにない高い吸着性能を実現する、新たな吸着材料を開発しました。これは「QACN(quaternary ammonium cation-doped carbon nanoparticle)」を使用したもので、ベンゼンにピリジニウム塩化物を加え、液体プラズマプロセス(※3)で処理して作られます。QACNのPFASに対する吸着性能は、PFOSで998.45 mg/g、PFOAで889.37 mg/g。PFASの吸着材料として従来使用されている炭素材料では、313.15 mg/g以下ですので、それよりも約3倍高い吸着効率を実現します。
 また、有害化学物質やエネルギーを大量に使用せず、簡単なプロセスで合成可能なため、製造において環境負荷が少ない点も特徴です。

家庭用浄水器などへの応用に期待

 手嶋教授らが開発した新たな吸着材料は、その高い吸着性能により、社会問題化しているPFAS汚染の課題に対し、大きなソリューションを与える可能性があります。
 技術の活用の可能性としては、例えば、新吸着材料を導入した家庭用浄水器が考えられます。また、この他にも、PFASを含む汚染水の処理や産業廃棄物の浄化へ活用できる可能性があります。
 PFAS吸着材料の開発は活発に行われていますが、実験室レベルでは効果があっても、実際の水道水などの水環境では、含まれる様々なイオンが作用して、思ったような吸着効果が得られない場合もあるそうです。こうしたなかで、手嶋教授らが開発した吸着材料は、実験により実際の水環境でも十分に効果を発揮することが分かっています。

ポイント

  • 手嶋教授らはPFASに対して、従来の3倍という高い吸着性能を発揮する吸着材料を開発

  • これは、新たに生成したカーボンナノ粒子「QACN」を使用したもの

  • この新吸着材料を家庭用浄水器などに採用することで、PFASをめぐる社会課題の解決に貢献する可能性がある

用語説明

※1 PFAS

有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされている。代表的なものは、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)と、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)。難分解性、高蓄積性、長距離移動性などの性質があるため、国内外で規制やリスク管理に関する取り組みが進められている。

※2 QACN(quaternary ammonium cation-doped carbon nanoparticle)

手嶋教授らが新たに開発した機能性材料で、陽イオンを添加したカーボンナノ粒子のこと。PFASに対して非常に高い吸着性能を持つ。

※3 液体プラズマプロセス

液体中にプラズマを放電し、ナノ材料を合成する方法。

論文情報

雑誌名:ACS Applied Materials & Interfaces. Vol. 16, Issue 45, 61832–61845, 2024.
論文タイトル:
Cation-Doped Nanocarbons for Enhanced Perfluoroalkyl Substance Removal: Exotic Bottom-Up Solution Plasma Synthesis and Characterization
著者:Mongkol Tipplook, Kaoru Hisama, Michihisa Koyama, Kazunori Fujisawa, Fumitaka Hayashi, Tomohito Sudare, Katsuya Teshima

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.4c08925(論文へリンク)

188bet体育_188bet备用网址者

手嶋 勝弥

所属

アクア?リジェネレーション機構 卓越教授 

リンク
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この188bet体育_188bet备用网址テーマを選んだきっかけ

 手嶋教授らは、様々な機能性材料の開発などを通じて、水中の様々な物質を吸着し浄水する188bet体育_188bet备用网址にこれまで取り組んできました。これにより、世界の地域ごとに異なる水課題に対して、ソリューションを提供してきました。こうしたなかで、近年、日本各地の水道水でPFASが検出され、人体への悪影響が懸念されるようになりましたが、手嶋教授は「これまで培ってきた188bet体育_188bet备用网址のノウハウが生かせる」と考えて、今回の論文の188bet体育_188bet备用网址に取り組んだそうです。まさに、新しい機能性材料の開発を通じて水課題の188bet体育_188bet备用网址にずっと取り組んできた手嶋教授の188bet体育_188bet备用网址グループならではの188bet体育_188bet备用网址と言えます。

Tipplook Mongkol

所属

アクア?リジェネレーション機構 特任助教 

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