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防災?減災

公開日:2025年2月 6日 15:59

繊維学部飛べないカイコガの羽ばたきはフェロモン分子を美しく導く

信州大学学術188bet体育_188bet备用网址院(繊維学系) 准教授 照月 大悟

 古くから家畜として用いられてきたカイコガは、優れた匂い(フェロモン)検出能力を持つため、嗅覚188bet体育_188bet备用网址にとっても重要なモデル昆虫です。しかし、カイコガが交尾行動の際に見せる翅(はね)の羽ばたきが、フェロモン検出にどのような影響を与えるかについては、不明な点が残されていました。信州大学学術188bet体育_188bet备用网址院(繊維学系)の照月大悟准教授と、千葉大学大学院工学188bet体育_188bet备用网址院の中田敏是准教授らの188bet体育_188bet备用网址グループは、カイコガの羽ばたきによる気流誘導メカニズムの詳細を明らかにすることに成功しました。188bet体育_188bet备用网址成果は、昆虫の匂い源探索行動(※1)に新たな知見をもたらし、同グループでかねてより188bet体育_188bet备用网址していた匂い源探索ロボットの設計指針となり得ます。

カイコガの匂い源探索行動における気流誘導メカニズムに迫る

 オスのカイコガはメスと交尾する際、羽ばたきながら直進して、ジグザグ-ターンする動きを繰り返すというシンプルな匂い源探索行動(※1)をとることで、メスの性フェロモンを触角で高感度かつ選択的に検出し、メスを探します。家畜化され飛べなくなったカイコガが“翅を羽ばたかせる”という行動をとることから、羽ばたきが匂い源探索に有用であるということは想定されていました。しかし、羽ばたきによって気流が触角へと誘導される3次元的な空気の運動は測定されていませんでした。

CFD解析(※2)して明らかとなった、羽ばたきによる気流操作の実態

 照月准教授らは、小型ファンによって人工的にフェロモンを放出し、オスのカイコガがそれを検出して羽ばたく様子を、高速度カメラで撮影しました。そしてPC上にカイコガの運動モデルを再構築して、数値流体力学(CFD)解析を行いました。この結果、羽ばたきによって触角に気流が流速約0.3 m/s程度で引き込まれていることが確認されました。また、オスのカイコガは前方方向60°の範囲から気流を選択的に触角へ誘導していることが明らかとなりました。よって、この気流操作が高感度なフェロモン検出と効率的な匂い源探索に有効であることも示唆される結果となりました。

嗅覚飛行ロボット開発の前進に大きく貢献

 かねてより照月准教授らの188bet体育_188bet备用网址グループでは、昆虫の触角をドローンと組み合わせた嗅覚飛行ロボット(バイオハイブリットドローン)(※3)を開発し、匂いの発生源を探索する188bet体育_188bet备用网址を進めていました。災害救助などの現場で要救助者の早期発見につなげるためです。カイコガの羽ばたきによる気流操作を明らかにした本188bet体育_188bet备用网址の成果は、前述の嗅覚飛行ロボットの開発に有用な知見をもたらし、災害時などで迅速に匂い源の探索を行うロボットの実現につながることが期待できます。

ポイント

  • カイコガの羽ばたきによる気流誘導メカニズムには不明な点が残されていた

  • 今回の188bet体育_188bet备用网址によって初めて羽ばたきによる気流操作の詳細が明らかとなった

  • この188bet体育_188bet备用网址成果は、災害現場における要救助者探査のために開発が進められている嗅覚飛行ロボットの設計に役立てられる

用語説明

※1 匂い源探索行動

昆虫などの生物が目標とする匂い源に到達するためにみせる行動。

※2 CFD解析

流体の運動方程式と連続の式をコンピュータ上で解くことで、解析する対象周囲の流れ場をシミュレーションする技術。

※3 嗅覚飛行ロボット

昆虫触角(例:カイコガ)と小型ドローンを融合した昆虫―機械ハイブリッド型ドローン。バイオハイブリットドローンとも呼称する。

論文情報

雑誌名:Scientific Reports (Springer Nature). 14, 17879, 2024.
論文タイトル:Olfactory sampling volume for pheromone capture by wing fanning of silkworm moth: a simulation-based study
著者:Toshiyuki Nakata*, Daigo Terutsuki*, Chihiro Fukui, Tomoya Uchida, Kohei Kanzaki, Taito Koeda, Sakito Koizumi, Yuta Murayama, Ryohei Kanzaki and Hao Liu
*Double first and corresponding authors(共同筆頭著者&責任著者)

https://doi.org/10.1038/s41598-024-67966-y(論文へリンク)

188bet体育_188bet备用网址者

照月 大悟

所属

信州大学学術188bet体育_188bet备用网址院(繊維学系) 准教授 

リンク
https://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/search/detail.html?systemId=jenaHhLN&lang=ja
この188bet体育_188bet备用网址テーマを選んだきっかけ

 人間にとって、嗅覚を頼りに目標物を探すことは非常に困難である一方、昆虫は餌や交尾相手を探す際に、空気中に漂う匂いをシグナルとして利用します。匂いは気流に乗って拡散し、その濃度や分布は時間や空間によって刻々と変化するにも関わらず、昆虫は、瞬間的な匂い情報に基づいて匂いの発生源を探すことが可能なのです。こうした昆虫の行動を解析し、その技術を活用することによって、匂い検出による社会課題の解決(要救助者の発見や、危険物?病気の検出等)につなげたいという思いから188bet体育_188bet备用网址が行われました。

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