自然科学?人文社会科学
公開日:2025年1月31日 10:00
全学教育センター「ダストトーラス」がクェーサー周辺ガスの電離の偏りに影響 星の形成のされ方などを知る手がかりに

銀河の中心にある非常に強い光を発する天体「クェーサー」(※1)は、紫外線により周囲を取り巻く水素ガスを電離しますが、電離の度合いは場所によって偏りが生じています。その理由について、学術188bet体育_188bet备用网址院(総合人間科学系) 全学教育センターの三澤透教授らの188bet体育_188bet备用网址グループは、ブラックホールを取り巻くように存在するガスや塵がドーナツ状に集まった「ダストトーラス」の存在が、電離の偏りに影響している可能性が高いことを明らかにしました。本188bet体育_188bet备用网址の成果は、クェーサー周辺での星の形成のされ方や、クェーサーの内部構造を知るうえでの重要な手がかりになると期待されます。
クェーサーからの光の放射には偏りがある
銀河の中心にある超大質量ブラックホールには、ガスや塵などが引き寄せられますが、その際に発生する摩擦熱で強く発光する天体を「クェーサー」と言います。これは、銀河の誕生と進化を188bet体育_188bet备用网址するうえで重要な天体のひとつとされています。このクェーサーの光に含まれる強い紫外線を受けると、宇宙空間を満たす水素ガスは電離しますが、仮にクェーサーからの光が周囲に偏りなく放射されれば、水素ガスの電離具合も周囲で偏りがないはずです。
しかし、実際にはそうなっていないことが先行188bet体育_188bet备用网址で知られています。視線方向(地球から天体望遠鏡で観測する方向)よりも、接線方向(天体望遠鏡で観測する方向に対して横方向)の方が、水素ガスの電離具合が低いのです。その理由について、ガスや塵がドーナツ状に集まった「ダストトーラス」が、クェーサーの接線方向の光の放射を妨げているためではないかという示唆を示す先行188bet体育_188bet备用网址はあったものの、明確にはされていませんでした。
解析困難なBALクェーサーの観測で、道を切り拓く
なぜ明確ではなかったかというと、地球からクェーサーを見た時のダストトーラスの方向を事前に知ることができなかったからです。こうしたなかで、三澤教授らは、幅の広い吸収線を持つ「BALクェーサー」(※2)という特殊なクェーサーを観測対象とすることで、地球から見たダストトーラスの方向をある程度明確にすることに成功し、ダストトーラスの存在が宇宙空間の電離の偏りを再現している可能性が高いことを明らかにしました。
三澤教授らの188bet体育_188bet备用网址は、ダストトーラスを地球から視線方向に見たときにBALクェーサーとして観測されることを示唆します(反対に、従来観測されてきたBALクェーサーではない一般的なクェーサーは、ダストトーラスが接線方向を向いているときに観測されると考えられていましたが、推測の域を出ませんでした)。そのうえで、接線方向の水素ガスの電離度を観測したところ、視線方向の電離度よりも高い結果が得られました。
従来、解析が困難であるという理由で、BALクェーサーの観測を通じた188bet体育_188bet备用网址は積極的に行われていませんでしたが、敢えてそこに取り組んだことで得られた188bet体育_188bet备用网址成果と言えます。
星形成、クェーサー内部構造、さらには銀河の謎の解明に貢献
水素ガスの電離度は星の形成過程に影響を与えます。そのため、本188bet体育_188bet备用网址の成果は、クェーサー周辺での星の形成のされ方などを知るうえで重要な情報となります。また、本188bet体育_188bet备用网址によりダストトーラスの存在を間接的に確認したことは、クェーサーの内部構造を知るうえでも重要な手がかりになると期待されます。
2025年に一度に最大2400天体の同時観測が可能になる「超広視野多天体分光器(PFS)」の運用がすばる望遠鏡(※3)で開始される予定です。三澤教授はこの分光器も利用しながら、クェーサーと銀河の謎のさらなる解明に挑み続けます。
ポイント
「クェーサー」周辺ガスの電離具合は場所によって偏りが生じており、その理由が謎とされていた
三澤透教授らはその理由を「ダストトーラス」の影響で説明できることを確認した
本188bet体育_188bet备用网址成果は、クェーサーの内部構造を知るなどの観点でも重要な手がかりになると期待される
用語説明
- ※1 クェーサー
銀河の中心にある超大質量ブラックホールにガスや塵などが引き寄せられる際に摩擦を起こして熱で強く発光した天体
- ※2 BALクェーサー
BALはBroad Absorption Lineの略で、幅の広い吸収線を持つクェーサー。クェーサーの近くから高速で噴き出すガス(アウトフロー)を発生させていることなどが特徴
- ※3 すばる望遠鏡
ハワイ島マウナケア山(標高4200メートル)にある国立天文台の口径8.2mの光学赤外線望遠鏡
論文情報
雑誌名:The Astrophysical Journal (2022, 933(2), 239)
論文タイトル:Exploratory Study of Transverse Proximity Effect around BAL Quasars
著者:Toru Misawa, Rikako Ishimoto, Satoshi Kobu, Nobunari Kashikawa, Katsuya Okoshi, Akatoki Noboriguchi, Malte Schramm, Qiang Liu
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