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医療?健康?福祉

公開日:2025年2月 6日 16:17

医学部先天性難聴の頻度や原因が明らかに 15万人対象の大規模疫学調査を実施

信州大学学術188bet体育_188bet备用网址院(医学系) 講師 吉村 豪兼

 信州大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科学教室の188bet体育_188bet备用网址チームは、長野県で2009年?2019年に出生した新生児のうち、新生児聴覚スクリーニング(※1)を受けた15万3,913人を対象に大規模疫学調査を行い、先天性難聴(生まれつきの難聴)の頻度や原因を明らかにしました。このように新生児を対象とした先天性難聴の大規模疫学調査が国内で実施されたのは初めてのことです。本188bet体育_188bet备用网址結果は、小児性難聴を診療する医療機関のみならず、患者家族への情報提供に大きく貢献するものとなります。

国内初 先天性難聴の頻度と原因を調べる大規模疫学調査

 過去に海外で行われた、新生児を対象とした先天性難聴の疫学調査によると、その割合は1,000人に1.0~6.4人と報告されていました。しかし、国内における同様の調査は過去に実施されておらず、また近年発展の目覚ましい遺伝子解析技術が反映された調査も実施されてきませんでした。
 信州大学医学部附属病院は、長野県で先天性難聴の診断を行ってきた唯一の機関であり、データを収集しやすいことに加え、診断の基準が一定であるという大きなアドバンテージがありました。加えて、長年遺伝子診断に力を入れてきたことから同分野に関するデータが蓄積されており、今回の188bet体育_188bet备用网址が実施されました。

188bet体育_188bet备用网址によって明らかとなった 発生頻度と原因

 188bet体育_188bet备用网址対象は2010年~2019年に長野県で出生した新生児のうち、新生児スクリーニングを受けた15万3,913人です。この数字は、これまで行われてきた海外の調査を含めても最も大きい母数となるものです。調査の結果、出生児1,000人あたり、両側性難聴と診断されたのは0.84人、一側性難聴と診断されたのが0.77人で、合計で1.62人という結果になりました。またその原因についても調査したところ、両側性難聴において半数以上の原因を占めるのが遺伝性難聴であり、一側性難聴において半数近い原因を占めるのが蝸牛性神経形成不全(※2)であることが明らかとなりました。

国内外で初となる報告は、患者家族にとっても有益な情報資源に

 非常に大規模な疫学調査であることに加え、遺伝学的検査や先天性サイトメガロウイルス感染症(※3)を含めた包括的な原因調査を行った報告は国内外を問わず初めてであるため、世界的に見ても有益な報告になると考えられます。
 また本188bet体育_188bet备用网址の成果は、患者家族にとっても有用な情報資源となることが期待されます。先天性難聴との診断がくだってから後、原因追究のためにはどのような検査が有用であり、今後どのような治療方針をとるかについて考える助けとなるためです。正確な原因診断をくだすことは、早期治療や患者家族の安心にもつながります。

ポイント

  • 母数が約16万人と大規模な先天性難聴の疫学調査は国内外で初めてのもの

  • 先天性難聴は出生1,000人あたり1.62人(両側性:0.84人、一側性:0.77人)と認められた

  • 両側性難聴の原因は遺伝性、一側性難聴の原因は蝸牛神経形成不全によるものが最も多かった

用語説明

※1 新生児聴覚スクリーニング

生後数日の新生児に実施する聞こえのスクリーニング検査。長野県では2010年以降、全体の99%近くが実施している。

※2 蝸牛神経形成不全

聴覚をつかさどる神経(蝸牛神経)が、母体内で体が作られる過程で不完全な形のまま生まれる症状。

※3 先天性サイトメガロウイルス感染症

子宮内で胎児がサイトメガロウイルスに感染することで様々な症状が発生する感染症。難聴以外にも低出生体重や小頭症、肝炎などの症状が起こり得る。

論文情報

雑誌名:International Journal of Epidemiology, Volume 53, Issue 3, June 2024, dyae052
論文タイトル:Epidemiology, aetiology and diagnosis of congenital hearing loss via hearing screening of 153913 newborns
著者:Hidekane Yoshimura, Takuya Okubo, Jun Shinagawa, Shin-Ya Nishio, Yutaka Takumi, and Shin-Ichi Usami

https://doi.org/10.1093/ije/dyae052(論文へリンク)

188bet体育_188bet备用网址者

吉村 豪兼

所属

信州大学学術188bet体育_188bet备用网址院(医学系) 講師 

リンク
https://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/search/detail.html?systemId=ZhTmbVym&lang=ja&st=researcher
この188bet体育_188bet备用网址テーマを選んだきっかけ

 188bet体育_188bet备用网址チームの吉村豪兼講師は、「患者とそのご家族が病気と向き合うためにも、病気の原因調査は非常に重要な意味を持つもの」と考えています。信州大学医学部附属病院では、長年にわたり患者一人ひとりに遺伝子検査を提案してきた実績があり、一側性難聴についても画像診断まで行うことで原因を追究してきました。長野県で唯一の先天性難聴の診療機関であることに加え、こうした信州大学医学部附属病院の強みが、本188bet体育_188bet备用网址につながりました。頻度調査の結果が出るということは、行政に対しどのような支援が必要かを提案するための大事なアピール材料にもなります。

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