医療?健康?福祉
公開日:2025年1月31日 10:03
農学部筋形成型オリゴDNAで 病的な血管新生の阻害効果を明らかに

学術188bet体育_188bet备用网址院(農学系)の高谷 智英 准教授らの188bet体育_188bet备用网址チームは、筋肉の形成に関わるDNA分子である「筋形成型オリゴDNA」(※1)に、病的な血管新生(※2)を阻害する効果があることを明らかにしました。高谷准教授らは、筋形成型オリゴDNAに骨格筋や心筋の形成を促進する効果があることを確認していましたが、今回、このDNAが平滑筋に及ぼす影響を実験で調査。その結果、病的な血管新生を阻害する効果があることが分かりました。この筋形成型オリゴDNAの作用を活かすことで、がんや動脈硬化などの病気の治療薬の開発も期待できそうです。
がんの増殖促進などに関わる血管新生
人間の血管は血管平滑筋という筋肉で大部分が構成されており、通常は筋肉の作用により柔軟性を保っています。しかし、その作用が失われる「脱分化」という状態になると、新たな血管が形成される「血管新生」が起こります。この血管新生は傷の修復などで必要になりますが、一方で人体に悪影響を及ぼすこともあります。例えば、がん細胞に栄養を送り込んで増殖を促したり、黄斑変性症や動脈硬化の原因になったりします。
病的な血管新生の阻害効果が明らかに
高谷准教授らは、DNA分子である「筋形成型オリゴDNA」に、こうした望ましくない血管新生を阻害する効果があることを実験で明らかにしました。
実験では、血管平滑筋細胞に筋形成型オリゴDNAを投与し、投与しなかった細胞と比較しました。その結果、投与した細胞の方が、血管平滑筋細胞が増殖していないことが確認されました。これは筋形成型オリゴDNAが血管新生を促すタンパク質「ヌクレオリン」と結合して、その機能を阻害し分化を促すためだと考えられます。
また、マウスから採取した大動脈に筋形成型オリゴDNAを投与して、その作用を調べる実験もしたところ、投与した方は大動脈から出芽する微小血管の形成が阻害されることが確認されました。
これら2つの実験結果は、筋形成型オリゴDNAが血管新生を阻害することを明らかにしていると言えます。
がんや動脈硬化の新たな治療薬としての応用に期待
筋形成型オリゴDNAが血管新生を阻害する作用を活用することで、新たな医薬品の開発が期待できそうです。例えば、がん細胞の増殖を抑えることや、黄斑変性症や動脈硬化といった病気への治療薬としての応用が考えられます。
また、筋形成型オリゴDNAは、短い一本鎖の構造を持つDNAであることから、安価に大量合成することができ、動脈硬化のような患者数の多い疾患の治療薬として適しています。
今後、高谷准教授らは、動物試験によって、実際の生体内での筋形成型オリゴDNAの血管新生抑制効果や安全性などを検証し、応用に向けた188bet体育_188bet备用网址開発を進めていきたい考えです。
ポイント
高谷 准教授らが同定した「筋形成型オリゴDNA」は、筋肉の形成に関わるDNA分子である
今回、筋形成型オリゴDNAの新たな作用として、病的な血管新生を阻害する効果があることが明らかになった
その効果を活用して、がんや動脈硬化などの病気の治療薬の開発も期待できる
用語説明
- ※1 筋形成オリゴDNA
筋肉の形成機能を持つDNA分子。
- ※2 血管新生
既存の血管から新たな血管が細胞の分化によりつくられること。細胞核内にあるヌクレオリンというタンパク質が関与している。
論文情報
雑誌名:Biomolecules, 2024; 14(6): 709
論文タイトル:Myogenic anti-nucleolin aptamer iSN04 inhibits proliferation and promotes differentiation of vascular smooth muscle cells
著者:Mana Miyoshi, Takeshi Shimosato, Tomohide Takaya
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