第2回 輝いてるね!キラリ大学院生 訪問日誌07信大的人物
地域の高校とも連携し ネパールの農業教育発展に向けて奮闘中!
農学部では上伊那農業高校と連携し、2022年から国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業「ネパール国中等教育における農業教育強化」を実施しています。これはネパール各地域の特性に合った農業教育体制や指導方法の確立、教材の開発等を目的としたものです。
プロジェクトメンバーとして初年度から参加しているのが、総合理工学188bet体育_188bet备用网址科農学専攻 生物資源科学分野 修士課程2年生の小原 涼太郎さん。瞳を輝かせてこのプロジェクトについて語る小原さんからは、たしかな充実が伝わってきました。 (文?平尾 なつ樹)
????? 信州大学広報誌「信大NOW」第145号(2024.5.31発行)より
実際にネパールを訪れて「良い意味で思い込みが覆された」
農業を主要な産業とするネパールでは、そのさらなる発展を目指し2014年から全国の中等教育で農業課程を設置しました。しかし、教員の人材育成制度や教科書などは満足に整備されておらず、教育現場に必要なノウハウも不足しているのが実情だそうです。
こうした状況を打開するため、JICAからの委託を受けて2022年からスタートしたのが、「ネパール国中等教育における農業教育強化」事業です。気候?農業条件が異なる3つの高校をモデル校とし、現地の農業教育の発展に取り組んでいます。
総合理工学188bet体育_188bet备用网址科 農学専攻 生物資源科学分野 修士課程2年生の小原涼太郎さんは、プロジェクトメンバーとしてすでに3度にわたり現地を訪れています。小原さんが初めて現地を訪れた際に驚いたのが、想像していたよりずっと熱心に教育改善に取り組む教員の姿だったといいます。
そんな姿に「良い意味で自分の偏見や思い込みを覆してもらいました」と当時を振り返ります。「自分たちが介入しなくてもこの国の教育は発展していくだろうなと思ったけれど、その発展にかかる時間を短くするための手助けができたら魅力的だなと思いました」といきいきと話してくれました。
ネパールでは、地域ごとに気候や環境が大きく異なるにも関わらず、全国一律のカリキュラムが採用されており、現場との整合性がとれていないのが課題だといいます。地域に最適なシラバスや教科書を作成し、地域に即した教育を実施することがプロジェクトの最終的な目標の1つです。
興味を広げ、気づきを与える存在に
このプロジェクトの前段には、2018年から2020年の2年間で行われた「ネパールにおける農業高校の教育強化プロジェクト」がありました。小原さんが参加している現在のプロジェクトは、以前行われた取り組みをより発展させる形で行われているものであり、かつ前回同様、上伊那農業高校と連携して進められています。
もともと国際協力に関心のあった小原さんは、同校在学中に前段のプロジェクトの存在を知り、信州大学へ進学するきっかけの1つになったといいます。
今回のプロジェクトでは、両国の生徒がオンライン上で交流し、お互いの高校を紹介し合ったり、実際に生徒らが両国を行き来して交流したそうです。自身が大学に進学するきっかけとなったこのプロジェクトにおいて、今では自分が高校生を派遣する立場にあることについて「感慨深いものがあります」と小原さん。続けて、自身がそうだったように「大学でこんな活動をしてみたいと思う子が出てくれたらすごくうれしいです」と、実感を込めて話してくれました。
もともと教員を志していたという小原さんは、既に教員免許を取得しており、いずれ教壇に立つことを選択肢の1つとしています。一方で、JICAでは近々このプロジェクト関連の隊員募集が出る計画もあるそうで、卒業後、青年海外協力隊となってプロジェクトに関わり続ける進路も見据えています。
将来的に教師になるのか、あるいは別の道に進むのか現時点ではまだ断言できないとしながらも、「自分が高校や大学で先生方からたくさんの気づきをもらったように、生徒の興味関心の幅を広げ、気づきを与えられるような存在になりたいですね」そう話す小原さんの瞳は、まだ見ぬ未来への希望に満ちていました。