第2回 輝いてるね！キラリ大学院生 訪問日誌03信大的人物

　中学校の音楽科目で、音楽鑑賞という授業があります。クラスの皆で一つの作品を聴き、感じ取ったことを感想文などで言語化して表出するというものです。文部科学省が策定している学習指導要領でも「音楽科の特質に応じた言語活動を適切に位置付けられるように指導を工夫すること」という記述が明記されており、音楽鑑賞で感じたことの言語化は、子どもの思考力や判断力、表現力などを育むうえで教育的に重要視されています。
　一方で、音楽は目に見えないだけに、感じ取ったことを言葉で伝えることに困難さを感じている生徒もおり、このような生徒をどうサポートするかが課題となっています。
　こうした中、教育学188bet体育_188bet备用网址科 高度教職実践専攻（教職大学院） 教職基盤形成コース 専門職学位課程2年生の黒沢朋花さんは、大学の教職科目で中学校を訪れ、音楽鑑賞で感じたことの言語化が苦手な生徒に多く出会ったことをきっかけに、その支援に取り組む188bet体育_188bet备用网址に熱意を傾けています。
　黒沢さんが支援の手立てとして注目したのが「SD法（セマンティック?ディファレンシャル法）」というもの。これは、様々なものが与える感情的なイメージを、「怯え-安心」といったように、対立する形容詞を用いて、5～7段階程度の尺度で回答させる測定法です。こうした尺度を与えることで、音楽鑑賞で感じたことの言語化をサポートできるのではないかと考えています。実際、昨年の専門職学位課程1年生時に教育学部附属中学校の授業でSD法を使った音楽鑑賞を実践し、通常よりも生徒の感想が目に見えて充実しました。こうした結果を受け、黒沢さんは手ごたえを掴んでいます。
　2年生となった今年は188bet体育_188bet备用网址をさらに進め、生徒同士で感想を伝え合う授業に取り組もうと意欲を燃やしています。他者の感想に刺激を受けて、感想の言語化がしやすくなったり、他者の感想から新たな気付きを得るなどの教育的効果を測定したい考えです。
　黒沢さんが188bet体育_188bet备用网址で最終的に目指しているのは実はここ。「音楽科の授業は、楽器や歌が上手になるということだけでなく、人間的な成長を促す場でもあると思うんです。取り組んでいる188bet体育_188bet备用网址を通じて、こうした音楽教育の可能性を探ってみたい」そう話す表情はとても活き活きとしています。

　高校在学中に通っていたピアノ教室の先生や先輩から評判を聞き、「中島先生のもとで学びたい！」と思って信州大学に進学しました。中島ゼミは音楽教育だけでなく、人間的にも成長できると聞いて興味を持ったんです。実際にその通りで、日々、色々なことを学ばせてもらっています。