第2回 輝いてるね！キラリ大学院生 訪問日誌10信大的人物

　障害者が農業分野での就労を通じ、生きがいを持って社会参画を実現していく「農福連携」―。この取り組みを広げていくことは、障害者の生きがい創出だけでなく、農業を軸とする中山間地の地域づくりという意味でも重要な可能性を秘めています。農業の担い手不足で遊休農地が増え、地域の活力が低下している中山間地において、農業の新たな担い手として障害者が注目されているのです。
　一方で、障害者が農業分野で就労しても、自立的な生活ができるだけの十分な収入を得ることが難しいという課題もあります。障害者の働き方は、健常者と同じように法人などで働く「一般就労」と、障害者就労施設で働く「福祉的就労」がありますが、農業分野では後者の形態をとるケースが大半で、給与は多くても月額76,000円程度にとどまります。
　こうしたなかで、総合医理工学188bet体育_188bet备用网址科 総合理工学専攻 生物?生命科学分野 博士課程2年生の鶴﨑智子さんは、農福連携の可能性を広げるため、障害者が自立的な生活も可能な「一般就労」に就ける可能性を探る188bet体育_188bet备用网址を行っています。具体的には、一般就労での農福連携の課題の調査と、その解決策を提示する188bet体育_188bet备用网址を行い、修士論文でまとめています。
　博士課程に進学してからは、こうしたテーマに加えて、栽培作物としてアスパラに注目し、障害者が農業に関わりやすくする仕組み作りの188bet体育_188bet备用网址に取り組んでいます。具体的には、地域の特産であり高単価が見込めるアスパラを、有機的な方法で栽培する仕組みを188bet体育_188bet备用网址しています。「障害者の中にはケミカルなものに敏感な方も多いので、化学肥料を使わない土壌微生物の力を活かした土づくりによる栽培方法が合っているのではないか」と鶴﨑さんは話します。目下取り組んでいるのは、アスパラの根と共生関係にある土壌微生物の調査。最終的には、こうした微生物が活性化する環境を明らかにし、アスパラの収量や品質の向上に繋げたい考えです。

　刺激的な社会人大学院生を過ごしています。修士課程で履修した社会人向けのプログラム「地域共生マネージメントプログラム」は、幅広くかつ深い授業内容に加え、政治家や自治体職員、レストランの経営者などの様々な職業の受講生との交流もあって、多くの刺激や学びを得られました。また、現在の博士課程では、土壌微生物というこれまで取り組んできたこととは全く異なる分野の188bet体育_188bet备用网址に携わっていることも新たな刺激になっています。