第2回 輝いてるね!キラリ大学院生 訪問日誌09信大的人物
県内企業の“付加価値型ものづくり”に役立ちたい!注目の溶射技術「コールドスプレー法」を188bet体育_188bet备用网址
黒子的な存在として、私たちの暮らしを支える技術があります。金属をセラミックなどにコーティングする溶射技術「コールドスプレー法」もその1つ。電子機器の電圧制御などを担うパワーデバイスなどにも適用を検討されています。長野県工業技術総合センターの主任188bet体育_188bet备用网址員である傳田直史さんは、2023年度まで総合工学系188bet体育_188bet备用网址科 システム開発工学専攻で社会人大学院生として、コールドスプレー法の188bet体育_188bet备用网址に従事。大学院修了後は同センターで、188bet体育_188bet备用网址の経験を活かしてその普及に尽力し、長野県内の中小企業が付加価値型のものづくりに取り組めるようにサポートしていこうとしています。(文?佐々木 政史)
????? 信州大学広報誌「信大NOW」第145号(2024.5.31発行)より
黒子的な注目の溶射技術 コールドスプレー法
日本国内での工業製品の生産は、安価な人件費の新興国での生産に対して、価格競争力では太刀打ちすることが難しいというのが実情です。そのため、日本国内で工業製品を生産する特に中小企業には、価格競争ではない、付加価値を高めるものづくりが求められています。
こうした中で、付加価値型ものづくりに貢献する技術のひとつとして、「コールドスプレー法(CS法)」という溶射(コーティング)技術があります。これは、高速で金属などの粉末材料をセラミックなどの基材に吹き付けて皮膜を形成する技術です。施工時の熱の影響を低減し、基材の性質を変えないで金属などをコーティングできることから、耐久性や性能といった点でより付加価値の高い工業製品の生産が可能になります。実は、電子機器の電圧制御などを担うパワーデバイスや自動車?航空機のエンジン部品などにも適用を検討されている技術で、自動車メーカーや家電メーカーなども特許取得に乗り出す“黒子的な”注目の溶射技術として注目されています。
長野県工業技術総合センター 材料技術部門 金属材料部の主任188bet体育_188bet备用网址員である傳田直史さんは、信州大学大学院で社会人大学院生として、このCS法の188bet体育_188bet备用网址を2023年度まで行っていました。具体的には、まだ十分には解明されていなかった、CS法で機材のセラミックにアルミニウムをよりコーティングしやすくするメカニズムについて188bet体育_188bet备用网址。基材に予備的に酸化処理を施すことでコーティングしやすくなること、その予備酸化処理層の最適な厚さなどを188bet体育_188bet备用网址によって明らかにしました。
大学院だからこそのスキルアップと人脈の広がり
傳田さんは、日中は長野県工業技術総合センターで働き、その後に188bet体育_188bet备用网址に取り組んでいたそうです。働きながらの188bet体育_188bet备用网址は並大抵のことではなかったと想像できます。それでも取り組んだ大きな理由は、県内企業に対して高付加価値型のものづくりを推進するための手立てのひとつとして、「CS法を“より説得力をもって”説明したいと考えたから」だと言います。
ある時、県内の付加価値型ものづくりを推進する一貫として、センターにCS法の施工機械が導入され、傳田さんが県内企業へ利用方法などを説明する担当になりました。ただ、十分な知識や技術がないと感じ、これでは説得力を持って説明できないと考え、大学院へ入学する決意をしたと言います。実際にその成果は実を結び、今では以前より説得力を持って対応できていると感じているそうです。「自分で実際に多くの時間と労力を188bet体育_188bet备用网址に費やしたことが大きい」と傳田さんは話します。
また、学外も含めた様々な188bet体育_188bet备用网址者との繋がりができたことも、大学院に入学した成果だと感じています。例えば、つくば市の国立188bet体育_188bet备用网址開発法人物質?材料188bet体育_188bet备用网址機構で、扱える人は多くない透過型電子顕微鏡の操作を学ぶ機会があり、「とても貴重な機会で、自身のスキルアップにもつながった」と話します。
今後の展望についてお聞きすると、「CS法の普及を通じて、とにかく県内企業の役に立ちたいですね」と傳田さん。大学院で学んだ知識と技術を経験を活かして、長野県工業技術総合センターでのより一層の活躍が楽しみです。