究極の吸水性を求めて... "究極のタオル"プロジェクト信大的人物

 タオルの拭い心地とは吸水感の良さ。…吸水特性がとにかく良い、究極のタオルを作ってみたい…。そんなタオル業界の熱い思いを汲み、最高峰のタオルの実現へ向け、繊維学部 先進繊維?感性工学科 感性工学コースの上條正義教授は、タオルメーカー、紡績会社と共同188bet体育_188bet备用网址を行っています。さて、究極のタオルとは一体どのようなものなのか?上條188bet体育_188bet备用网址室に伺いました。(文?佐々木 政史)

????? 信州大学広報誌「信大NOW」第140号(2023.7.31発行)より

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信州大学学術188bet体育_188bet备用网址院(繊維学系)
繊維学部 先進繊維?感性工学科 感性工学コース
上條 正義 教授

Profile
188bet体育_188bet备用网址分野は感性工学、感性計測
1989年信州大学大学院繊維学188bet体育_188bet备用网址科修了
その後信州大学繊維学部助手、助教授を経て2009年より現職

究極の要素はやはり繊維の“撚り”にあり

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 「究極のタオル」といえば、“フカフカの肌触り”をイメージする人は多いのではないでしょうか。たしかに、肌触りの良さは重要な要素ですが、実はそれだけでは足りず、肌触りを追求すればするほど、逆に吸水力が落ちてしまうのです。つまり、究極のタオルというのは、フカフカとした肌触りと、しっかりとした吸水性を併せて持った「拭い心地、使い心地」の良いタオルと言えます。
 肌触りと吸水性のカギを握るのが、繊維の“撚り”です。タオルの素材となる糸は、綿の繊維が束になってできています。この繊維の束にねじりを加えることを「撚りを掛ける」と言います。その程度を強めるほど強度と吸水力が増しますが、一方でその分、フカフカとした肌触りは失われます。つまり、撚りを適度に掛けて、肌触りと吸水性のベストバランスを実現したタオルこそが究極のタオルと言えるのです。

誰もやったことのない“吸水感の評価” に挑む

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 信州大学繊維学部 先進繊維?感性工学科 感性工学コースの上條正義教授の188bet体育_188bet备用网址室は、タオルメーカーのホットマン、紡績会社の近藤紡績所と、こうした究極のタオルの共同188bet体育_188bet备用网址を行っています。そのなかで上條188bet体育_188bet备用网址室が担当しているのが、吸水性の新たな評価方法の確立です。
 皮膚や髪の毛の表面に付着する水分の“吸い上げやすさ”が優れていればいるほど、人は拭い心地が良いと感じます。しかし、こうした水分の“吸い上げやすさ”の評価方法は、日本ではまだ確立されていないのが実情です。JISを中心とした既存の吸水性評価方法がありますが、これは吸い上げやすさではなく、いかに水を吸って蓄えられるかを評価するものであり、拭い心地を評価できません。そのため、上條188bet体育_188bet备用网址室では拭い心地を評価する新たな吸水評価方法の確立に向けた188bet体育_188bet备用网址を行っているというわけです。
 現在、188bet体育_188bet备用网址を進めている具体的な評価方法は、水を含んだシートの上にタオルを一定時間置き、そのタオルを拾い上げて吸水量を調べるというものです。この評価方法では、撚りの掛かり具合が大きいタオルほど吸い上げやすさが優れる結果が得られており、このことから「実際の人の拭い心地に沿った評価方法になっている」と上條教授は話します。
 上條188bet体育_188bet备用网址室では、ホットマン、近藤紡績所の協力も仰ぎながら、糸の繊維の長さや太さ、撚りの掛り具合などを変えた様々なタオルを試作し、そのタオルを使って実験を繰り返す行うことで、この新たな吸水性評価方法の確立に向けて取り組んでいます。そして、評価方法の確立後は、その結果を学会などで発表しながら世の中にオープンにし、拭い心地という観点からのタオルの吸水性評価方法のデファクトスタンダードにしていくことを目指しています。

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最終ゴールは個人にあわせたカスタムメイド!?

 新たな吸水性評価方法が確立すれば、その評価方法をもとに抜群の拭い心地と肌触りを叶える“究極のタオル”が実現する日はそう遠くないでしょう。ただ、上條教授はその先の“カスタムメイド”化を見据えています。
 モノの使い心地に関する評価は、究極的には個人の感覚の差に行き着きます。Aさんにとって最も使い心地の良いタオルが、Bさんにとっても最も使い心地が良いタオルであるとは限りません。個人によって、肌触りと吸水性のバランスの好みは微妙に異なります。「感性工学のモノづくりとして、当然、最終的には個人の感性の差を考慮したカスタムメイドを考えていく必要も出てくるでしょうね」(上條教授)。真に人が心地よいと感じるモノづくりとは―、真に人を幸せにするモノづくりとは―。モノづくりの本質を追求する上條教授の188bet体育_188bet备用网址に、終わりはないようです。

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