第2回 輝いてるね！キラリ大学院生 訪問日誌06信大的人物

　遺伝子導入とは、動植物や微生物などの生物体内に外部から特定の遺伝子を導入し、遺伝情報を意図的に変更する技術です。それにより、生物体内に様々な変化を与え、例えば、微生物が人や社会にとって有用な物質を生成することなどにつなげていこうとしています。企業での応用188bet体育_188bet备用网址を経て、日用品や医薬品の開発など、実は私たちの暮らしに大きく関わっている技術分野です。
　この遺伝子導入で、これまでにない先進的なアプローチに挑戦しているのが、総合理工学188bet体育_188bet备用网址科 生命医工学専攻生命工学分野 修士課程２年生の山本純子さんです。山本さんの先進的なアプローチの１つが「接合伝達」というものです。遺伝子導入には、化学薬品や電気を用いる方法があります。しかしこれは細胞にストレスがかかることで細胞が死滅してしまう恐れがあり、培養が難しい微生物には適していません。こうした課題に対応するため、山本さんが取り組んでいるのが接合伝達です。細胞同士が接触すると遺伝子が作用して膜貫通タンパク質というトンネルのようなものが細胞間にでき、このトンネルを介して、細胞から細胞へ直接的に遺伝情報を伝える接合伝達の手法で、山本さんは好アルカリ菌へ安定して遺伝子を導入することに成功しました。好アルカリ菌が持つ酵素は産業応用性に優れていて、洗剤の洗浄力向上などが期待されています。
　もう１つ、山本さんの先進的なアプローチがAIの利用です。AIの深層学習を用いて最適な遺伝子配列の設計を行ったことで、世界で唯一見つかっている、応用可能なレベルでポリエチレンテレフタレート（PET）を分解する酵素を持つIdeonellasakaiensisという微生物の遺伝情報を、枯草菌へ導入することに成功しました。将来的には、PET分解酵素の効率的な生成システムの構築が可能に。例えばペットボトルの分解などを通して、環境問題の解決に貢献する可能性も秘めています。

　実は、これまでに2回（学部3年生?修士1年生）就職しようと考え、修士2年生の時には内定式にまで出ましたが、最終的には博士課程に進むことに決めました。指導教員の片岡先生はとても楽しそうに188bet体育_188bet备用网址されていて、それは突き詰めているからだと感じ、「私も突き詰めたい！」と思ったのが理由です。一方で、専門性に囚われた狭い視野で考えず、先生からのアドバイスや188bet体育_188bet备用网址室のメンバーとの議論、学会発表を通じて、多角的な視点から幅広く188bet体育_188bet备用网址を進めていきたいです。